劇場公開日 2017年2月3日

「難しくて深い。人間の本質的な残虐性に迫る異色作。」虐殺器官 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0難しくて深い。人間の本質的な残虐性に迫る異色作。

2017年2月22日
PCから投稿

怖い

知的

難しい

【賛否両論チェック】
賛:人間の残虐性を〝器官”と定義づける領域にまで掘り下げた価値観を持つ宿敵と、その殺戮本能の本質へと迫ろうとする主人公との対比が印象深い。内向きな管理社会への問題提起も垣間見える。
否:会話がかなり小説チックで、かつ難解なので、結構違和感を覚える。グロシーンもかなり多め。

 “人間の持つ残虐性”を扱う作品は結構ありますが、ここまで本質を深く掘り下げて、“人間には虐殺を司る、いわば「器官」がある”という理論にまで昇華した作品は、かなり特異な印象です。それほどまでに人類にとって、“殺戮本能”というものが抗えないものだという、一種の虚しさが漂います。
 同時に、そうした本能を前に先進国が選んだ、“自由の幅を制限してでも、徹底的に管理された社会によって、自国民の安全を確保する”という内向きな姿勢へのアンチテーゼも垣間見えます。その辺りは「スノーデン」にも通じるものがありそうですね。
 語られる内容はかなり難解で、グロシーンも沢山ありますので、好みは分かれそうですが、気になった方は是非。

映画コーディネーター・門倉カド