劇場公開日 2015年4月11日

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「前編の嫌な要素は丸々継承された上で作品の肝もキチンと潰した作品。」ソロモンの偽証 後篇・裁判 Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5前編の嫌な要素は丸々継承された上で作品の肝もキチンと潰した作品。

2015年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

「前編・事件」の嫌な要素は丸々継承。
登場人物達の会話が不自然。
役者の演技が過剰過ぎて雑。
話の展開が全体的に都合主義。
荒唐無稽な設定を成立させるための気配りが不足しており。
全体的に雑味が多く話に没入し難い印象を受けました。

更に「後編・裁判」で追加された雑味、正確には発覚した雑味。
それは……或る人物の背景を全く描かない不誠実さ。

巧い出来とは決して言えないですが。
それでも「前編・事件」は一つの事件を多面的に捉える雰囲気は出ていました。
事件性という観点で処理する警察に対して。
学校内裁判は残された関係者の証言や事実を積み上げて多面的に真相を読み解く。
結果に行き着いた理由を各関係者が抱える背景や問題から推理/導出する。
そこには絶対的な、一方的な正義も悪も無く。
無いからこそ、時間を掛けて丁寧に描いた話が独自の厚みを持つ。
各自の事情を知り感情移入した上で改めて事件を振り返ると抱く印象が変わる。
つまり“一方的では無く多面的に描くこと”こそが本作の肝だと感じました。

にも拘らず。
本作では或る最重要人物の背景を全く描かない。
これを不誠実と言わずして何を不誠実と言うか。

この不誠実な対応により当該人物が一方的な悪に。
感情移入不能の怪物に仕立てあげられていました。
先入観や一方的な決め付けは良くないという話のはずが。
作品の肝がキチンと完全に潰されていました。

前編の嫌な要素は丸々継承された上で作品の肝もキチンと潰した本作。

個人的には主演の藤野涼子と板垣瑞生よりも。
判事 井上を演じた西村成忠の熱演が良かったです。
今の時代、「金八」的なベタな委員長を演じ切った点は好感が持てました。

間違って「前編・事件」を観てしまい結末がアレコレ気になり何であれ一応の帰結を確認したい方のみ。
オススメです。

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Opportunity Cost