劇場公開日 2014年5月24日

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「折角のコンテンツを“無駄死に”させた意味でも罪が重い作品。」キカイダー REBOOT Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5折角のコンテンツを“無駄死に”させた意味でも罪が重い作品。

2014年6月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

寝られる

酷かった。
上映時間110分が本当に苦痛でした。

本作は70年代の特撮ドラマ「人造人間キカイダー」のリブート(再起動)作品。
70年代版はチラッと観た程度で殆ど初体験。
原作漫画は以前読んだことがある程度の前準備で臨みましたが。
リブート作品としては悉くツボを外した酷い有様でした。

まず全く魅力的ではない登場人物達。
冒頭の原田龍二演じる服部の妙に軽薄で現実感の無い言動から始まり。
話の主軸となる光明寺姉弟の異常な適用能力。
また弟は全ての言動が「“大人が考える”愛に飢えた生意気な子供」感が出ていて鼻につく。
そしてARKプロジェクトの面々も動機が浅過ぎて理解不能。

何より残念だったのが、肝心要のジロー。
機械の体に入れられた良心回路、という設定から想起される展開は幾らでもあると思うのですが。
本作の中では当該設定が殆ど活かされておらず非常に浅い。
ジローの心情描写や成長の過程が雑に描かれているため終盤の決断もカタルシスはゼロ。
良心回路は力を制御する邪魔な機構という印象すら受けガッカリしました。

また既視感の強い戦闘シーンも致命的。
キカイダーと敵との戦闘は作中に複数回あるものの殆ど同じ。
暗くて狭い場所での肉弾戦のみ。
キカイダーも敵も動きのパターンが非常に少なく中盤以降は既視感が。
相手が異なるだけで冒頭の一回目を観たら十分。

如何にも狭いスタジオで撮影しています、という雰囲気や雑な小道具を暗さで誤魔化そうとした結果。
画面が暗すぎて非常に見難くなるという本末転倒振り。
キカイダーの見た目が格好良かった分、画面の見難さは本当にガッカリしました。

話自体は最初から期待していなかったため然程落胆はしませんでしたが。
とは言え無駄な愁嘆場が多く観ていて辟易としたのは確か。
また終盤間際の光明寺弟の無事っぷりには失笑。
中盤までの逃避行を全て否定するような展開に思わず溜息が出ました。

シリーズ化を前提としているにも拘らず全く続きが観たくならない本作。
一旦再起動すると次の再起動までに期間を取らざるを得ない。
折角のコンテンツを“無駄死に”させた意味でも罪が重い作品でした。
次作が作られればそれだけ新たな再起動が遅れるため是非本シリーズはこれで打ち止めていただきたい。

村枝賢一がリファインデザインしたキカイダーが動けば、それで満足する方のみ。
オススメです。

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Opportunity Cost