劇場公開日 2014年9月6日

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「スターにはなれなくとも、ヒーローにはなれる!」イン・ザ・ヒーロー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5スターにはなれなくとも、ヒーローにはなれる!

2014年9月7日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

特撮でお馴染みスーツアクター。
特撮好きの自分にとっては、この秋、非常に楽しみにしていた一作。
期待に違わぬ熱血感動作であった!

特撮は彼らナシでは成り立たない。
子供たちがヒーローに憧れるのは、アクションが格好良いからだ。
それは全てスーツアクターの魅力と言っても過言ではない。
顔出しナシの功労者という意味では、ゴジラなどの着ぐるみ俳優も同じだ。

主人公・本城はいつか顔出しで映画に出演する事を夢見てスーツアクターを25年続けている。
本城と同じ夢を持っているスーツアクターは大勢居るだろう。
夢が叶ったと思いきや、スーツアクターをバカにしている生意気なガキにあっさり奪われる。
その悔しさは相当なものだが、ぐっと堪え、殺陣を指導する。
そんな彼に今度こそ本当に、ビッグ・チャンスが舞い込む。しかしそれは、命を落としかけない危険なスタントだった。
本城は様々な思いを胸に、スタントに挑む…!

この本城という人物に魅せられる。
ちょっとウザいけど、熱く、ストイックで、懐深い。
最初は反発し合っていた一ノ瀬との間に芽生える師弟関係にグッとくる。本城とスーツアクター仲間の絆にグッとくる。
稽古シーンは「ロッキー」、クライマックスのスタントシーンは「蒲田行進曲」のような感動を呼ぶ。
本城を、唐沢寿明が演じた時点でこの映画はもう勝ったも同然だ。

ご存知のように若い頃、スーツアクターだった唐沢寿明。
だからこそ、本城が夢を語るシーンは、本物の説得力がある。
クライマックスのスタント、殺陣は迫真。
唐沢寿明のハマり役などではない。唐沢寿明そのものなのだ。
年末、多くの主演男優賞を手にする事だろう。
改めてだが、唐沢寿明に惚れる。
俳優としてもさることながら、トーク番組に出れば芸人以上に笑わせ、いつぞやのバラエティー番組で「宝物は?」と聞かれ「山口智子」とサラリと言ってしまう格好良さ。
日本には、唐沢寿明という素晴らしい役者が居る!

今年は斬られ役にスポットを当てた「太秦ライムライト」もあった。
スーツアクターと同じく、脚光を浴びる事はほとんど無い。
が、彼らが映画を面白くしている。
今回たまたまスーツアクターが題材になったが、映画には他にも縁の下の力持ちが居る。
映画は総合芸術。誰一人欠けても映画は完成出来ない。

映画愛がある。
仲間との絆、友情がある。
家族愛もある。
そして、夢がある。
映画を愛する人、必見!

近大