劇場公開日 2015年8月29日

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「好きな人のためだけの映画。」S 最後の警官 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE 年間100本を劇場で観るシネオさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0好きな人のためだけの映画。

2015年9月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

単純

TVでチラッと見たくらいの知識。
評価もそんなに悪くないし、
豪華キャストなので鑑賞。

アクションは、
邦画の予算にしては
まあまあ頑張ってた。
銃器のディテールも、
なかなかのリアリティだ。
ヘリからの狙撃で、
バンドでライフルを釣るとこなんか、
そうなんだろうなぁと感心。

あとスナイパー蘇我役の綾野剛さん、
雰囲気をつくってて良かった。
この人は邦画で実によく出てくるね。
新宿スワンはイマイチだったけど、
ソレダケの大ボスはイカしてた。
クールな役の方が、持ち味がでるんだね。

同じくスナイパー林イルマの、
新垣結衣さんも役も頑張ってた。
見たことのないまなざしのガッキーは、
カッコよかった。

モンダイはストーリーと、
それを許す演出の甘さ。
映画の全てをぶち壊してる。
正木圭吾役のオダギリジョーも
悪くなかったのに、
しょうもない脚本の犠牲者だ。

全てのシーンで、とにかく説得力がない。
もう観客をバカにしてる。
こういう映画は、
犯人のリアリテイがないと、
展開にドキドキするわけもなく。

まずプルトニウム船を、
おバカなテロリストに、
あっという間に乗っ取られる。
特別警護は何なんだろう..。
日本の警察や海上保安庁に失礼だ。
それも「政府に内通者がいた」
ということで片付けられるなんて、
乱暴すぎだなぁ。

ショッピングモールで
携帯で指示を与えているテロのボスを、
囲みからスルーで逃がすのには笑った。
普通なら、射殺だろう。
プルトニムを積んだ船が
爆発するかもなんて、
フセンもないのに。

そして敵の思い通りになると、
物語はバカっぷりが加速する。
国際テロ犯を全員釈放するわ、
日本の内閣全員人質にして
プルトニウム船に乗せちゃうわ。
ボスが無茶苦茶なことをやるのに、
一緒に戦う部下たち。
最後はなぜか素手で戦う、主人公。
むしろこれは、狙ったギャグなのか?

加えて、
尺を稼ぐための無駄な要素も満載。
内輪揉めも恋愛話も親子話もいらないよ。

TVドラマの焼き直しは、
実にこういうことが多い。
たぶん練りもしないで、
急いで企画をするからだ。
物語が忘れられないうちに
封切りしなくてはならないから、
そうなるのだろうね。

こんな感じだから
純粋に映画としては許せない。
けどドラマファンだった人は、
映画サイズになっている分、
楽しめるんだろうね。

娯楽って、
誰もがツジツマなんて、
求めてないかもしれないから。
まぁ好きな人がよければ、
それでいいと思うけど。

年間100本を劇場で観るシネオ