劇場公開日 2014年9月6日

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「武力ではなく知力によるハイジャック」フライト・ゲーム にっこりさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0武力ではなく知力によるハイジャック

2021年7月10日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 姿の見えない犯人が航空保安官である主人公(ビル・マークス)に送った脅迫メールですが、これが周到に考え尽くされていて、受け取ったマークスがどんな反応するか、そして更にそんなマークスに対する周囲の反応、それすら犯人の計画に織り込まれており、まずそこが一つの大きな見所だと思います。
 とは言え、犯人の計画に感心ばかりしている余裕もありません。遥か上空の旅客機の中、乗客の誰かに紛れ込んだ謎の犯人、動けば動く程、綿密な敵の罠に嵌っていき、周囲に不信感を募らせ、マークスこそがハイジャック犯なのだと疑われ、もし自分がマークスの立場だったらと想像してみると、あまりの困難と緊張感から解放されたいが為に、全てを諦めてしまうだろう。そう思える程の極限状態が、もう一つの見所です。
 しかしマークスは諦めず、執着とも言える不屈の心を見せます。精神異常者扱いする声を浴びせられる中も決して目的を見失わず、地道に今出来る事を片っ端からやると同時に、頭を回転させて謎の犯人に近付く方法を次々と閃かせ、反撃に出る。
 息を呑む様な緊張感に、主人公と敵の傑物同士の心理戦。そんなサスペンスというジャンルの定義通りの魅力を持った正統実力派サスペンス作品です。好きな人は是非。

にっこり