劇場公開日 2014年3月21日

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「私はひねくれ者だから」ローン・サバイバー タンバラライさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5私はひねくれ者だから

2022年7月19日
PCから投稿

こういう作品を見ると思ってしまう。
「こういう作品を作っていればレビューワーは低い点数を付けられない。ビジネス戦略としては得」
この映画は兵士の悲惨さをとても上手に伝えている。まず基地での平和な様子を見せる。戦場に出たら一般人の親子を登場させる。主人公たちがなんとか殺さないで済む方法を考える。それで彼らが観客と同じ普通の感覚を持った人間だということを伝えられた。そして戦争犯罪に関する法律が厳しいことを見せておく。それから圧倒的な火力で押されて押されて押されまくる。普通の人が突然地獄に落ちたという恐ろしさが伝わってきた。そしてその地獄は母国で普通に暮らしている国民生活の一部なのだと。法律という現実的なものがそこに引っかかっているという伏線が効果的だった。また、俳優たちがとても迫真の演技だった。きびしい訓練に耐えたといえどもやはり平和な国の人々だった。戦場であっという間にパニックになる様子がとてもリアルで怖かった。
ドキュメンタリー性を重視して戦闘シーンをやたら長くし、人間ドラマの要素を意図的に押さえつつ、現地の人々の心情や事情などもうまく挿入した優れた脚本だったと思う。
アフガニスタンは1881年には既にインドの利権を巡ってイギリスとロシアの戦いの戦場となっている。現在は石油の利権を巡って戦場になっている。とてもかわいそうな国だ。
映画の終わりに「私は負けない」みたいなメッセージが入っていたが、いかにも取って付けたようだった。戦争ビジネスの都合でこのようなセリフが入っているように感じた。映画の内容と矛盾していて空虚な言葉に響いた。

タンバラライ