劇場公開日 2015年1月17日

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「40歳以上の男性は必観です。」アゲイン 28年目の甲子園 えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)

5.040歳以上の男性は必観です。

2015年1月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

幸せ

『アゲイン 28年目の甲子園』を鑑賞。

「とんぼ」の重松清原作の同名小説の映画化。
浜田省吾の10年ぶりの新曲「夢のつづき」が主題歌となっている事でも話題となっている。

28年前甲子園を目指す高校球児であった晴彦(中井貴一)の元に女子大生の美枝(波瑠)が訪ねてきた。
美枝は高校時代のチームメイト典夫(太賀)の娘であり、典夫は一昨年の震災で亡くなったという。
ボランティアでマスターズ甲子園の事務局に務めている美枝は晴彦にもう一度甲子園を目指すべくマスターズリーグへの参加を勧める。
しかし、美枝の父親である典夫は高校時代暴力事件を起こし、それが原因で晴彦たちは甲子園出場を断念した過去があった。

まず本作が万人にお薦めできる良作となっている事をお伝えしておく。
中でも40歳以上の男性には是非ご覧いただきたい作品となっている。
映画の基本テーマは誰もが共感できるものとなっており、野球に興味がない方でも必ず心に響くものがあるはずだ。

若かりし頃に思い描いた夢。
結果的に諦めた夢。
逃げ出したくなるような辛い出来事や思い出。
現在もずっと逃げ続けている事象など。

そんな誰しも必ず一つや二つは心当たりのある事に対し野球を通じて表現する今作は、危険な勝負を避け逃げる事を覚えた大人たちに一石を投じる作品となっている。

「負ける時はちゃんと負けて、そして前に進む」

劇中、何度も語られるこの言葉にこそこの作品の全てが込められている。

俳優陣の熱演、映像や脚本においても非常にクオリティの高い良作であり、先に公開され同じ野球を通じて描いた「バンクーバーの朝日」とは雲泥の差である。

魅せるところはきちんと魅せ、伝えたいテーマは確実に伝える。

映画はこうでなくてはいけないという見本であり、正に「一球入魂」を感じる作品であった。

えのきち