劇場公開日 2013年11月29日

「自分の生き方、社会との関わりを見つめ直す」ある精肉店のはなし よしたださんの映画レビュー(感想・評価)

3.0自分の生き方、社会との関わりを見つめ直す

2015年12月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

被差別部落の問題に正面から切り込んでいる。というような大上段に構えたドキュメンタリーではない。
ある一家が、自分たちの生業に対するいわれなき差別や貧困にもめげずに生きてきた先達を偲び、また、自らも新しい時代に適応しつつ、子供たちの時代に残すものを真剣に考えている姿を捉えている。
この一家の、明るく朗らかで、時に豪胆な生き方。そして、社会経済の変化がここにも例外なく押し寄せて、失われていくもの、解き放たれていくもの、新しく生まれてくるもの。これらスクリーンに映るものを観て、自分自身の生活や社会との関わり方が、このように真摯なものなのか、改めて問い直させる。
どこか知らない土地の知らない人々の「かわいそう」な姿を憐れむのではなく、具体的な土地に必死にしがみついて生きている人々の生き方と、自分の人生とを照らし合わせることができる内容である。

佐分 利信