劇場公開日 2014年4月5日

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「W主演の女優は素晴らしいが、時間の浪費感が残る」アデル、ブルーは熱い色 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5W主演の女優は素晴らしいが、時間の浪費感が残る

2014年4月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

萌える

レア・セドゥが抜群に上手い。これまでの作品とはまったく違う顔を見せる。目線や仕草、体全体から漂う空気、本当にレズビアンなのではないかと見まごうばかりだ。
アデルを演じるアデル・エグザルコプロスはハイティーン特有のふっくらとした顔立ちで、デビューした頃の宮沢りえを想わせる。アブデラティフ・ケシシュ監督はアデルの食べるシーンや寝顔を多用し、目と唇の動きで幼い色気を出させようとしたようだ。

この作品、女性同士の性愛描写が取り沙汰されているが、アデルは同性愛に目覚めたわけではない。たまたま好きになり愛した相手が女性だった。それだけのことだ。ここが大きなポイントとなる。恋愛にはいろんなかたちがあり、アデルがエマに寄せる恋心はそのひとつにすぎない。
二人の女優の振る舞いが自然で、初めて本気で人を好きになった青い恋の一途さがよく出ている。

この作品、一見、何ものにも囚われないエマが奔放に見える。だが観ていくと、自分の心の赴くままに生きようとするアデルのほうが自由人に見えてくる。

ただ、話に脈絡がない。少女が大人になっていく過程を描いたのは分かるが、3時間も見せておいて何のひねりもないのは、どうもしっくりこない。フランス映画らしいといえばそれまでだが、アデルが童話作家としての道を歩み始めるとか考えられなかったのだろうか。それだとアメリカ映画的だと言われようが、何か前向きに終わってもらわないと時間の浪費感が残る。

それにしても向こうの高校は文学の掘り下げ方が深い。「源氏物語」もああいう授業だったら、もっと興味が持てただろうと思う。

マスター@だんだん