劇場公開日 2014年5月3日

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「息をのむ展開に終始引きつけられた」プリズナーズ スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5息をのむ展開に終始引きつけられた

2016年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

知的

難しい

単純に一つのサスペンス映画としては勿論のこと、一人の人間としてもとても心揺さぶられる作品でした。
もし我が子が誘拐されたなら、それはまあ恋人や妻や親友等、自分の大切な人に置き換えてもいい、その大切な人が誘拐され安否が不明な状態となってしまったら、人はどんな行動をとればいいのか・・・頭では分かっていても、刻々と時間だけが過ぎていけば、それは間違いなく冷静でいられるものではないはず。
そんな状況に陥ったドーヴァー夫妻とバーチ夫妻を通して、自分ならどうするか、とにかくいろいろと考えさせられた映画でした・・・。

しかし冒頭から不穏な空気と言うか、子供二人が誘拐されるまでの何とも言えない空気感を作り出すところからして、さすがは昨今巷で評価されているドゥニ・ビルヌーブ監督、見る者を引き込む術に長けていますね。
そして10歳程度の知能しか持たないアレックスが犯人としか思えないよう持って行く見せ方も、お見事の一言。
でも警察は当然ながら慎重且つ丁寧に捜査、焦る焦る被害者家族、その何とも言えないイライラさせられる状況に、思わず我が事のように感情移入させられてしまいましたよ。

ヒュー・ジャックマン演じるケラーの取った行動は、当然ながら正解ではない、けど、人としてその感情はよく分かります。
アレックスがまた思わせぶりに時々確信的なことを言うものだから、余計にね・・・その辺りはポール・ダノの演技もホント素晴らしかった!
他にケラーの妻、バーチ夫妻、事件に対して四者四様の対応をとったところも見所の一つでしたね。

一方ジェイク・ギレンホール演じる冷静に事件を追うロキ刑事の行動も、被害者家族とは対照的に表面に出ださない熱さを感じる捜査で、こちらも見入ってしまいました。
ケラー、ロキ、全く違うアプローチから見出された真実は、まあ若干突っ込みどころはあったものの、これまたそう来たかと思わされる結末に唸らされましたよ。
倫理と信仰、まさにアメリカが抱える闇を浮き彫りにしたような作品で、長尺ではありましたが、最後まで片時も目を離せない秀作に仕上がっていたと思いました。

スペランカー