劇場公開日 2014年1月31日

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「今旬の監督と今旬の役者のケミストリー」アメリカン・ハッスル 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今旬の監督と今旬の役者のケミストリー

2014年7月6日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

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まずはオスカーでの健闘を称えたい。
無冠に終わったが、同監督作2年連続で作品・監督・演技賞4つの主要部門と脚本・編集の重要賞ノミネート。
調べてみたら、これはオスカー史上初の快挙。

天才詐欺師とFBI捜査官が組んで、汚職政治家を芋づる式に逮捕した、実話を“含んだ”物語。
シリアスになりがちな実話ベースを軽快な作品に仕上げたのは、“今、何をやっても上手くいく”デヴィッド・O・ラッセルの手腕によるものが大きい。

サスペンス、コメディ、ロマンスのエンターテイメント。
中盤の役者が揃ったパーティーのシーンは、作戦と並行して登場人物たちの思惑も入り混じり、最高の見せ場。
美術や衣装は勿論、ヘアメイクがとにかくゴージャス!(笑)
また、当時のヒットナンバーが耳に心地良く、作品を彩っている。

本作は役者を見る映画だ。
クリスチャン・ベール!
エイミー・アダムス!
ブラッドリー・クーパー!
ジェニファー・ローレンス!
ジェレミー・レナー!
今旬の役者をよくぞここまで集められたもんだ!
この配役を知った時からワクワクし、見たいと思った。
その期待を裏切らず、贅沢なアンサンブルを見せてくれる。

デブハゲのクリスチャン・ベールもパンチパーマのブラッドリー・クーパーも面白いが、とりわけエイミー・アダムスとジェニファー・ローレンスに目を奪われる。
凄い美人じゃないけど魅力的な女優と常々思っていた二人の共演。
色気たっぷりのエイミー・アダムスと、頭が痛くなるほどの性悪妻ジェニファー・ローレンス。
二人の顔合わせシーンは秀逸。性悪妻は一目で夫の愛人である事を見抜く。トイレでの口論シーンはハラハラハラハラ…。
実力派女優が美と演技をぶつけ合う。

裏社会の大物役でロバート・デ・ニーロも特別出演。
出番は僅かだが、場が締まるほどの存在感を発揮。

騙して騙されて、利用して利用されて…。
“祭りの後”はそれぞれ。
失ったもの、得たもの、やられた奴、再出発する者…明暗分かれたラストも悪くない。

序盤はちょっと退屈だったが、段々と面白くなってきた。
今旬の監督と今旬の役者が魅せる、犯罪コメディの快作!

近大