劇場公開日 2014年8月1日

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「各要素は作りこみが半端ない。けれど、人間パートが弱くて、寄せ集め感がぬぐえない。」るろうに剣心 京都大火編 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0各要素は作りこみが半端ない。けれど、人間パートが弱くて、寄せ集め感がぬぐえない。

2023年4月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

単純

寝られる

アクションはチャカチャカと。確かにスピード感とか、こんな殺陣?と驚くような展開なのだけれど、忙しすぎて、軽すぎて、ぜんまい仕掛けのおもちゃを見ているようで、すごいなあと思う反面、現実味がなく冷めてしまった…。

役者も、コスプレ的にはビジュアルが最高なのだけれど、人物を描くという意味では中途半端。前作・これに続く後編もみて、一つの物語として鑑賞しなければいけないのだろう。
 みんな、与えられた役はちゃんとこなしているのだけれどもね。
 原作を読んでいること前提なのだろう。

設定も、「世の中を転覆させる」という割には、一つ一つのシーンが小さくまとまってしまっている。カメラワークの問題なのか、世界観が広がっていかない。悲壮感を出そうとしている努力は認めるのだけれど、それを強調しすぎたのか?
 人間がぶら下がっているシーンは、幼い子がトラウマにならないかと心配してしまうのだが。

それでも、土屋さんを始めてみて興奮した。志穂美悦子さんの後継者がとうとう現れたか!!!と。
 まあ、今ではアクション封印?して、誰でもできるような役を演じていらして、もったいないなあと思ってしまうが。

田中氏。映画で見るのは3作目。このお年でこの動き。さすが、ダンサーだけあって、動きがきれいでスキがない。いつまでも見惚れてしまう。
 応対する伊勢谷氏もすごいのだけれども。
 ただ、原作飛ばし読みの身からすると、ここでこの話を挿入するかと、全体の筋がちょっと散漫になってしまった。剣心がらみだけでなく、いろんなしらがみが残っていて、あちこちでドタバタしているんだよと言うことを言いたかったのかもしれないが…。

そして福山氏。それまでの物語等を全部さらってしまうインパクト。藤原氏の好演も、他の方々の演技も、なかったことになってしまうほど。

他にも、神木氏のチュシャネコのような笑いは不気味だし、
モブシーンの中に、良い演技をしていらっしゃる方がいらっしゃるなあと思う。

原作ファンなら、現時点で実写ができる最高峰の映画として高評価を与えられるのではないかと、飛ばし読みファンは思う。
 その一方で、飛ばし読みファンとしては、アクションに重きを置いたため、人間パートが弱くなってしまったなと思う。
 二兎を追うもの一兎も得ず。難しい。

とみいじょん