「音楽、映画好きにはたまらん!!」フラッシュバック(1990) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0音楽、映画好きにはたまらん!!

2019年9月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 60年代のボブ・ディランやCSN、ジミヘンの曲がガンガン流れる。健康オタクで若さを感じないサザーランドと、60年代懐古主義で冗談好きのホッパーのやり取りがすごく面白い。酒場「ドク・ホリデイ」での会話でもわかるように、住民たちも60年代音楽が好きだ。もっとも感じるのが、ホッパーの『イージー・ライダー』へのセルフオマージュで、後半に登場する「レインボー・ゼン」というヒッピーの小屋はまさしく『イージー・ライダー』そのもの。やっぱり流れる「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」と、当時の映画ファンにはたまらない内容となっていた。

 オマージュの話題を抜きにすると、親に逆らって体制側の食に付いたキーファの人生観を覆すような出会いを上手く表現しています。ホッパーがキーファを奇妙な友情というより、息子のように感じてしまう展開が素敵でした。ベトナム戦争に反対するアジテーションにノスタルジーを感じながらも、人々が心から失ってしまった「思いやり」を喚起する場面がいいですね。「列車切り離し事件」「若者の特権」「電子レンジ」などといった伏線も面白かった。

 エンドクレジットにはピーター・フォンダの名前が無かったけど、劇中のフィルムに出てくる父親が彼に見えてしょうがない。『フラッシュバック』というタイトルは、69年を思い出す過去映像のような意味があるかもしれないが、『イージー・ライダー』の映画自体がフラッシュバックを多用していることも興味深い。

kossy