劇場公開日 2014年6月14日

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「生と性と死」私の男 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5生と性と死

2020年8月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

悲しい

怖い

興奮

2020年7月6日MOVIX仙台にて鑑賞
それ以来3度目
2度目のDVDで鑑賞
原作未読

なぜ北海道なのか
なぜ奥尻島の震災を絡めたのか
なぜ流氷で人殺しという発想を持ち込んだのか
それが今もよくわからない
大変なロケだったろう
二階堂ふみの代表作

完全にアウトローな話だ
エログロナンセンス
人殺しをしても劇中では逮捕されることがない
それだけではなく「なぜ?なんで?」が多い謎作品だ
性描写はカットしてもいいからリメイクでもっとちゃんとしたものをつくってほしい
だけどこれは駄作ではない

好みが分かれる
PTAとか教育委員会とか常識的な人とか真面目な人とか邦画嫌いには向いていないので無理して観るべきではない
あなたたちをターゲットにして作っているわけではない
模範的な映画ばかりじゃ人生はつまらない

二階堂ふみの演技力がとにかく素晴らしい
必然性はあったが全裸を披露するには若すぎた
映画人は左翼なんだから法律なんか無視して関根恵子みたいに脱がせればいいじゃんと思う
撮影当時17歳なのか18歳なのか19歳なのか知らないがどうでもいいこと
あそこまでやらせたんだから
モスクワで賞を獲ったのなら警察も大目に見るだろう
脱ぎ専門河井青葉がヌード担当

どうやら自称日本通で意識高い系の外人さんたちは日本に悪趣味なものを期待しているようだ
裸の王様に裸ですよと教えることができる大人でありたい

近親相姦もの
父親役が浅野忠信で娘役は二階堂ふみ
某AVメーカーのような明るい馬鹿馬鹿しさはない
こっちの方が一般作だがあっちが日向ならこっちは日陰
ただただ陰湿で気持ち悪い
でも結局は本当の親子というのは設定で浅野忠信と二階堂ふみは本当の親子ではない
だから映画の近親相姦を受け入れられる
僕はセーラをいじめていたラビニアやミンチン先生の声優に剃刀を送るような人間でない

二階堂ふみは『エール』のような国民的爽やかなお芝居より自己中で汚らわしい気狂いを演じる方が大好きだ

はっきりいって好きなジャンルでは無い
それでも映画館で観たのは二階堂ふみが大好きだから
内容を度外視するわけでは無い
だけど自分はそれよりもスクリーンで観るお気に入りの役者が演じる芝居を最優先にしている
無名な人たちだけなら映画館に足を運ぶ事はなかった

やっぱり刑事殺しで逮捕されないなんて監督さんは日本の警察を舐めてるね
警察官はわりと屈強だし拳銃だって所持しているはずだしあっさり殺されるのも不自然
完全に調子に乗っている
それだけじゃ無いけどいろいろなことが腑に落ちないまま本編終了する
なんか惜しいというか残念
自由すぎた
傑作になりえたのに
複雑な気持ちにしてくれる怪作

野川新栄