劇場公開日 2014年7月25日

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「自然はバランス」GODZILLA ゴジラ xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0自然はバランス

2014年8月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

「自然はバランスであり、それを体現するのがゴジラだ」
渡辺謙扮する芹沢博士は言う。
バランスを壊すものはいろいろあるのだが、それが人為的につくられた
ものも多いことに気づく。水爆実験や原発事故などの核が最たるものだろう。もちろん、地震や津波などの自然災害もあるのだが。
その人為的な部分、核に由来したものがムトーという怪獣。
それは、生物的本能によって種を拡大しようとする。
そのムトーと対峙し、自然を守るゴジラという構図が出来あがる。

この異形なる怪獣映画に何を込めるか?
このギャレス・エドワーズ監督や渡辺謙は、3.11や原発事故を踏まえた。そこに暮らす普通の人も描こうとしたのだろう。
彼らは「エコロジスト」だろう。アルゴアの環境問題の著書が「アース・イン・ザ・バランス」であるように。
とまあ、むずかしく考えれば、そんな感じになるのだが。

この映画を、単なるエンターテイメントとして見るならば、その描写は、監督の思う存分作り込むことが出来たのではないか。特にゴジラの登場シーンや怒りで吠えるシーンは従来を踏襲しつつもさらに上をいきたいという意思がはっきり見えた。
現代の問題とエンターテイメントの両立は確かに矛盾してしまうところがある。
例えば、主人公の家族は最後に再開して熱い包容を交わすが、怪獣たちの戦いの足下では何人の人たちが犠牲になったのか、隠されている。
現代の問題とエンターテイメントの矛盾に果敢に取り組んだ監督たちにエールを送りたいと思う。ゴジラという日本の素材の、原点でもあるのだから。

xtc4241