劇場公開日 2014年1月31日

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「総てを洗い流す無垢なメイジーの瞳」メイジーの瞳 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5総てを洗い流す無垢なメイジーの瞳

2014年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

幸せ

本当に昔から、どんな名優でも決して敵う者がいないと言う、スクリーンキラーと言えば子役と動物キャラ。

特にこの作品で6歳のメイジーを演じているオナタ・アプリールは完璧に他の名優を食っていましたね。
とても芝居で演じている役とは思えない程に自然体、そして彼女の瞳は正に、両親の離婚に因って両者の元をピンポンボールの様に行ったり来たりとたらい回しにさせられてしまう幼子の哀しみの表情を、その小さなつぶらな瞳で、見事に魅せている。

そして、この映画ファーストシーンから、このメイジーの母親や、父親のキャラクターを観客に一瞬にして理解させ、メイジーの切ない心が理解出来るように、様々な工夫が取り込まれえいるのは、思わず舌を巻くものばかりでした。
流石はスコット・マクギーとディビット・シーゲルのコンビの監督作品だけあるわ。
彼らがかつて監督した作品の「綴り字のシーズン」も家族の危機からの脱出を描いた見事な作品だった。セリフの一つ一つがとてもリアルであり、確かな演出が物語に深みを加えていた。
そして、この作品では、新しい家族の姿として、注目を集めた「キッズオールライト」のスタッフが集結して本作は作られていると言う。
この「キッズオールライト」もゲイ(ビアン)カップルと2人の子供を軸に、家族の絆や、家族の在り方を問うた、素晴らしい作品であった。
特に、人種の坩堝のアメリカでは、ほぼ単一民族国家である、日本に比べると遥かに多様な人種が国を形成しているために、それぞれの民族が培ってきた考え方や、生き方の相違などの価値観の異なる文化を持った人々達が、同じ国に暮している事から生じる様々な、クロスカルチュアルな摩擦を見事に描いていた秀作だった。

そして私は、この映画「メイジーの瞳」のラストの海辺のシーンがとてもとても大好きだ。
これはまた、思い出の名ラストシーン映画として語り継いでいっても良い名シーンだと思う。
ロックバンドグループのヴォーカルである母スザンナをジュリアン・ムーアが熱演するあのラスト近くのシーンは最も感動的だった。
その後に海辺で、メイジーが遊ぶシーンは、新たな時代の家族の形の在り方を指示しているようでいて本当に感動的なのだ。
NYの街並のシーンや、そしてラストの海辺のシーンも含めてこの作品の全編が映像的にとても綺麗に描かれている点が、更にこの幼子のメイジーの深く哀しい眼差しと相反して哀しみをそそる映像作品だ。
母スザンナの新たな夫を演じていたアレクサンダースカルスガルドにこれからのハリウッド作品を期待したい!
子供の親権問題を扱った感動作はこれまでにも「クレイマーVSクレイマー」「アイアム・サム」を含めて多数有るが、本作もこれらの名作と引けを取る事は無い。
小品では有るけれど、立派に名作の仲間入りとなる作品だと思う。
是非映画館で、この感動を味わって観て欲しいなぁ~

ryuu topiann