劇場公開日 2013年2月23日

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「やっぱり人との触れ合いってイイね」草原の椅子 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0やっぱり人との触れ合いってイイね

2013年2月26日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

大学生の娘と暮らすバツイチ男の遠間に、50になって人生の転機が訪れる。
取引先の社長で同い年の富樫と親友になる。
焼き物店を営む貴志子と知り合い、打ち解ける。
ひょんな事から、母親に虐待され心を閉ざした4歳の男の子、圭輔を預かる。
それぞれ心に傷と悩みを持つ4人が出会い、最後の桃源郷と呼ばれるパキスタンの山岳地帯フンザへ向かう…。

宮本輝の小説を、「八日目の蝉」の成島出監督が映画化。人生の岐路に立った4人の姿を丁寧に描き出す。
物語のハイライトとなるパキスタンの山岳地帯フンザの風景は、最後の桃源郷の名に恥じない美しさ。広大な砂漠は共に走り出したくなるほど。名カメラマン、長沼六男の手腕が冴える。
佐藤浩市、西村雅彦、吉瀬美智子が好演。とりわけ、圭輔を演じた貞光奏風くんと圭輔のキ○ガイ母・小池栄子の怪演が印象を残す。

何でも話せ、愚痴や悩みも相談出来る、恥ずかしいくらい嬉しい親友。
値段も分からない高級焼き物を衝動買いしてしまうほど心ときめき気になる女性。
最初はどう接していいかも分からなかったが、徐々に愛情湧き、かけがえのない存在となる擬似息子。
いずれの出会いにも心地良い安らぎを感じ、50になっても人生まだまだ。

その一方、一人一人、大きな悩みや悲しい過去を抱えていた。
特に、圭輔の心の傷は深い。虐待のせいでまともに話す事も出来ない。
藤間は養子しようと考え始めるが、そこには現実問題が立ち塞がる…。
それぞれの答えを求める為に訪れた桃源郷。
大自然が心の悩みや傷を受け止め、新たな人生を踏み出す勇気を一押ししてくれる。

出会いがあって辿り着いた答え。
人と人の絆が染み入る人間ドラマの好編。

近大