劇場公開日 2022年5月13日

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「「本当の友情は、愛以上のもの…」」夏物語(1996) たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「本当の友情は、愛以上のもの…」

2022年5月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

エリック・ロメール監督の<四季の物語シリーズ>第3作目。
ある青年のひと夏のバカンスで、恋愛・友情・出会い・別れなどを描いたホノボノした感動作。

一人の青年がギターを持って、誰もいない家にやって来るところから始まる。
この家、ロメール監督『海辺のポーリーヌ』に出て来た家にソックリ!

この青年ガスパールは、クレープ屋(カフェ)で店員女性と一言会話した後、その女性マルゴとディナールの浜辺で再会。何でも話せる良き友達となる。
ガスパールは本命彼女がスペイン旅行中で連絡が取れなくなって、彼女をひたすら待っている。マルゴはガスパールを友人達とのディスコ行きに誘って、ガスパールはやって来るのだが「集団がきらい」とのこと。
ガスパールは、そのディスコで出会ったマルゴの友人女性ソレーヌと海で再会して、ソレーヌの叔母の家に行って弾き語り。ソレーヌと熱烈なキス。
このソレーヌなる女性は、船に乗っている時に長くて黒い髪が風になびいて綺麗。
そして、ガスパールはソレーヌと付き合い始めて、マルゴとの友達関係も続いているところに、スペインに行って連絡つかなかった本命彼女レナがやって来て、平凡な日常の中で、凄いことになっていく……といった物語。

ガスパールなる青年が、女性たちと予定がバッティングして困るシチュエーションが楽しい…(笑)

この映画も、他のロメール監督作と同様、とても饒舌な作品で、
マルゴのセリフ「恋人じゃない友達でももつれることはあるのよ」とか、
本命彼女と思っていたレナが「出かけた先で、いつも男3~4人に付きまとわれていた。ブスになりたいぐらいだった」などの名ゼリフが見事。

ただ、本作でロメール監督が一番言いたかったのは、ソレーヌのセリフ「本当の友情は、愛以上のもの…」ということではなかろうか。
これはラストシーンに直結する。

ビーチ近辺を舞台に、自然体の風景であるかのように物語を綴ったエリック・ロメール監督、見事である。

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たいちぃ