劇場公開日 1949年7月19日

「戦後日本の未来を明るく照らした躍動感あふれる今井作品」青い山脈(1949) Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0戦後日本の未来を明るく照らした躍動感あふれる今井作品

2020年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

戦後日本映画で評価が高かった今井正監督作品とは縁が薄く、ほんの数作品しか鑑賞していない。そんな後ろめたさがありながら、この終戦4年後に制作された「青い山脈」だけは、当時の日本人が未来に抱いていた希望を、躍動感ある明朗なタッチで描き切った清々しさがあり、とても映画的で感動した。民主主義を育てようとする作者たちの熱き意図が、明るく堂々と描かれている。その純真な精神は、40年近く隔てた現在からすれば単なる青臭い若者論の常識程度に過ぎない。しかし、その精神的支柱を間違えなかったから、現在の発展があったと考えれば、無下に古臭いと批判するのも粋ではないだろう。特に演出技巧が優れているわけではないが、作品の出来以上にその内容に惚れてしまった。役者では、原節子が知性的な美しさを余すところなく表現していて強烈である。
  1985年 2月11日

Gustav