劇場公開日 1960年1月14日

「酒飲んどるだろうが。」女経 KIDO LOHKENさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5酒飲んどるだろうが。

2020年6月3日
PCから投稿

参りました・・・と言うぐらい面白かった。私が今までに見たオムニバスの中で一番良い。一つ一つの物語それぞれにウィットとキレがあった。そして女のがめつさや儚さのようなものが出ていて。 もしも一つ一つのエピソードを単独で見てそれで終わりだったとしたら、もしかしたら消化不良、あるいはゲテモノだと感じたかもしんない。しかしそこがオムニバスの面白いところで。三つ続けてみると相乗効果がとても大きく、すごい掘り出し物を見たという気持ちに打たれた。
原作の 村松梢風というのは私は初めて聞いたが少し読んでみたくなった。この映画の成功したポイントは何と言っても原作者の数ある作品の中から映画化に適した、この小説をうまく選び出した点だと思う。脚本家に拍手を送りたい。
演出としては市川崑の市川崑らしさが抑えられていて、ある程度、他の監督との演出の統一性を出すために打ち合わせをしたんじゃないかと思う。
第1話の若尾文子は今まで私が見てきた若尾文子の中で一番エロ美しかった。
第2話の妖艶な部分と現実な部分の落差が何とも言えず面白かった。
第3話の京マチ子(当時36歳)の年増のエロさがなんとも言えず萌えだった。彼女の持っている「格の違ういい女」というオーラがそこはかとなくグッときた。このエピソードのラストシーンなんかはとても宮川一夫チックな撮影だったように思う。やわらかで麗しい映像だった。

タンバラライ