牙狼之介地獄斬り

劇場公開日:

解説

五社英雄の原案を「牙狼之介」のトリオ、田坂啓がシナリオ化し、五社英雄が監督したシリーズ第二作目で、吉田貞次が撮影。

1967年製作/71分/日本
配給:東映
劇場公開日:1967年5月13日

ストーリー

知的障害者の女お照に狼藉せんとした風間一角道場の荒くれ侍を、一瞬のうちに斬って捨てたのは、今井宿から流れて来た狼之介だった。その目の前を三つの唐丸駕篭が通りすぎた。一つは幕府金鉱桧笠山見廻り役を斬ったという孫兵衛、一つは江戸の怪盗黒猫の鬼八、最後の一つは鬼あざみのお蓮が乗せられていた。狼之介は大きな興味をもって、唐丸駕篭の後を追った。不敵な面魂の孫兵衛が、尋常の遣い手でないことを知ったからだ。そのため桧笠山の麓で孫兵衛を襲った刺客の一団を追いちらしたりなどした。廃坑となって捨てられた桧笠鉱山で、この孫兵衛と甚六という山師が、砂金の鉱脈を発見し、孫兵衛が見廻り役を斬ったのも、この秘密があったからなのだ。甚六は必ず孫兵衛を助けると約束しながら、刺客を放って砂金の一人占めを図ったのであった。一方、風間道場の主一角は、狼之介に果し状をつきつけた。狼之介は孫兵衛の駕篭に鋏を投げこみ、一角の指定場所に去った。決闘の末、一角を倒したが、甚六一味に捕えられた。そして、孫兵衛を殺すべく唐丸駕篭を襲った。だが、孫兵衛とお蓮は逃れ去った。捕えられた狼之介はカラス谷の大木につるされた。その狼之介を救ったのはお照だった。お照は甚六の娘だが、必死に堅い縄目をかんでほどいた。そのお照の姿は美しく狼之介の目に映った。甚六のかくれ小屋に現われた狼之介の前には、裏切りへの復讐、黄金へのすさまじい執念に青白く燃えて、幽鬼のような孫兵衛の姿があった。甚六を斬り、その情婦お辰を斬り、甚六の息子一郎太、三郎太を斬り裂き、狼之介の制止の声も耳になくお照までも斬った。狼之介は怒った。孫兵衛は狼之介によって倒された。鉛色の空に影さす魔の山、桧笠山は、狼之介という無頼の浪人を主人公にして、赤裸々な人間模様を血で描いてみせたのであった。

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映画レビュー

3.0娯楽性×濃密愛憎劇で、時代劇界に、牙新斬!

2023年5月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

楽しい

興奮

五社英雄監督1967年の作品。
夏八木勲が再び浪人・牙狼之介に扮した第2作。

当てのない旅を続ける牙。
男たちに追われる女を助け、役人一行に護送中の三人の罪人と出会う。
幕府の隠し金山を巡って、男と女、思惑と欲が交錯する…。

罪人の一人、孫兵衛。
彼を見て、牙は驚く。
牙が幼い頃死んだ父に瓜二つ。
道場破りだった父。その父と幼い頃から旅暮らしだった牙。
実は父は生きていて…という事ではないが、孫兵衛にシンパシーと言うより、何か怪訝なものを感じる牙。
何処か不敵な孫兵衛を、西村晃が存在感発揮する。

前作は『用心棒』をコンパクト化したような痛快で単純明快な娯楽作だったが、勿論今回も娯楽性は充分だが、よりドラマ性や男女の愛憎劇が濃厚。後の五社作品に通じるものも。
ちと人間関係入り交じり、前作の方がストレートに分かり易さや見易さあったが、今回も70分ちょっとの短尺の中によく詰め込んだと感心。
牙の豪快な殺陣や泥臭いキャラ像もより浮き彫りに。

娯楽性あり、濃密なドラマあり、監督の美学あり。
この時代量産された単なる娯楽時代劇のそれとは違う。
僅か2作の短命で終わったのが惜しい。

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近大

2.5隠し金山

2022年9月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

牙狼之介(夏八木勲)はある女を助ける。
そして重罪人を護送する役人に助勢を頼まれる。
重罪人の中に死に別れた父親そっくりの男(西村晃)がいた。
今回はちょっと、どんくさい牙狼之介でした。

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いやよセブン
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