劇場公開日 1962年9月29日

「男の苦労も糧とする逞しさ」放浪記(1962) arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0男の苦労も糧とする逞しさ

2019年7月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

最初に捨てられた大学生をはじめ、
生活力のないインテリの優男にめっぽう弱いふみ子だが、何くれとなく親身になってくれる安岡の思いに応えるでもなく、それでも繋ぎとめておく強かさも持つ。
書くことに関しては最初から絶対的な自信があったとは思うが、ふみ子という人は女としては、すごく自己評価が低い人なんじゃないかと思った。
だから、心理的、身体的虐待を許してしまう。
ふみ子に文学がなかったら、福地と別れられなかったかもしれないが、書き続けるためには独りになるよりほかなかったのだ。
仲谷昇、宝田明のダメ男ぶりも見事だが、
卑屈さを感じさせるいつも少し猫背なふみ子像を作り上げた高峰秀子もお見事だが、最後までふみ子の友人であり続けた加東大介の演じる安岡の実直さも印象的だった。

arakazu