劇場公開日 1973年7月18日

「これなら『キン肉マン対アルプスの少女ハイジ』も実現できそう?」マジンガーZ対デビルマン 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0これなら『キン肉マン対アルプスの少女ハイジ』も実現できそう?

2024年1月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

1973年公開作品
その年の東映まんがまつりの一つ

監督は『三国志』三部作『ゲゲゲの鬼太郎 大海獣』『わが青春のアルカディア』の勝間田具治
脚本は『忍者部隊月光』『黄金バット』『グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦!大海獣』『北斗の拳』『超人機メタルダー』の高久進

『マジンガーZ』の劇場版オリジナルアニメ第1作にして日本テレビアニメ劇場版オリジナル作品の先駆け
それ以前はTVアニメで放送された何話目かをスクリーンで上映していたのだろう
今でも『鬼滅の刃』でそれと同じことをしているようだが
藤子不二雄アニメでドラえもんがQちゃんやパーマンや怪物くんなどと共演するようなものだが話はそんなに簡単なものではなかった
テレビアニメの『マジンガーZ』はフジテレビ系で放送されたが『デビルマン』はテレビ朝日系で放送された
本来なら他局のため合作は難しいはずだが幸いにも両作品の原作者が永井豪で本人の強い希望をテレビ朝日側が受け入れた形となった
TVアニメの『マジンガーZ』も『デビルマン』も1972年に放送が開始され若干『デビルマン』の方が早い
『マジンガーZ』は74年まで放送された人気作だったが『デビルマン』は原作の内容が内容なだけに『マジンガーZ』と比較してもかなりオリジナル色が強く「これからも戦いは続く」的な打ち切り感たっぷりの最終回になっている
『とんねるずのみなさんのおかげです』でもパロディー化され阿久悠作詞三沢郷作曲の主題歌も良作の名作だが放送当時は視聴率的に少々苦戦したのかもしれない
しかも最終回が2つあるドタバタぶりでテレビ朝日が永井豪の希望を「申し訳ない」気持ちで快く受け入れる背景もある

今作は『マジンガーZ』にデビルマンがゲスト出演する形となっているためか牧村家の人々は登場しない
だが妖鳥シレーヌは登場する
TVアニメ版にほぼ近い
やはり東映まんがまつりなので原作版のデザインは自粛された
こうしてみると実写版で妖鳥シレーヌ役の冨永愛が乳房の全てを披露することを拒否したのも頷ける
そのため実写版は妥協の産物で原作ともアニメ版とも違うデザインになっている
オッパイは原作者永井豪の趣味でありシレーヌが必ずしもオッパイを出す必然性はない
乳首からビームを出すわけでもないしオッパイがミサイルになっているわけでもないのだから
原作もデリケートゾーンは羽毛で隠れているし
男性諸君の多くは原作版の方が好きだろうが漫画の神様手塚治虫氏はエロ満載の永井豪先生を大いに嫌ったことだろう

タイトルは『マジンガーZ対デビルマン』とショッキングだがバイク競争でピリピリ感はあるものの真っ向対決はなく兜甲児と不動明が協力して敵を倒す
『キン肉マン対アルプスの少女ハイジ』もそんな形のコメディーものでキン肉マンとハイジが歩けないクララを励ますんだろう

幼鳥シレーヌら悪魔3人はDr.ヘルの催眠光線によって操られ配下になり機械獣と協力してマジンガーZとデビルマンを倒しにかかる設定になっている
あしゅら男爵は登場するがブロッケン伯爵は登場しない
そういえばなぜ「アシュラ」ではなくて「あしゅら」なのか
「阿修羅」じゃないとのは幼い子供達への配慮だろうが「あしゅら原」だとなんか間抜けである

総攻撃という形でDr.ヘルも要塞に乗りマジンガーZと戦うがブレストファイヤーを浴びて機体は海に落ちて爆発
海の中でギリギリで脱出
敵ボスながらヒヤヒヤしたが戦略的に脱出成功には早すぎるとマジンガーZの攻撃を受けることが予測されるのでああいうスリリングな形となったのだろう
そこは製作者もよく考えて作品を作っているんだなと感心する

あくまで「おまつり」感覚の娯楽作品なので童心に帰って楽しんでもらいたいものだ大人なら

余談だが勝間田具治監督作品の三国志三部作だが映画.comではなぜか三作目の完結編だけが扱われていない
それは一体なぜなのか
削除にばかり必死にならないで仕事としてやるべきことをちゃんとやれよ
中途半端なことするな

野川新栄