劇場公開日 1985年7月20日

「本当に伝えたいことは撮られていないところにある」ビルマの竪琴(1985) 映録助さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5本当に伝えたいことは撮られていないところにある

2018年8月15日
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人生とは選択である。選択そのものが人生と言える。
でも、時には人に相談することも必要。

水島の生き方に全く共感できないために、途中から半ばどうでもよくなくなった感は否めない。
だって、軍人は上官の命令に従うのなら、どうして頑なに自分の行動に固執するのか。
栄養が足りずに判断が鈍ったのかとも考えたが、そうなら途中で思い返してもいい。

ということでストーリーについてはモヤモヤは残る作品です。

それでも最後まで見たのは、別の見方をすれば、ミュージカル映画とも見えるかもしれんと思ったから。
男声合唱オペラ。
そういうヒントはくれた。

【以下、ネタバレではないけどネタバレよりもある意味閲覧注意】
一度しか見ていないので、という前置きの上で進めると、これは悪夢のシーンをカットしたある種ファンタジックに描いた物語である。原作が児童文学であるということから考えて童話なのだ。
つまり水島が説得に失敗して移転先の収容所に戻る前日までは現実のことだが、そのあとは重要なシーンを大幅にカットした物語になっている。本当は見るに耐えない奴隷となり強制労働を強いられた仲間を見てしまって、自分は捕虜から逃れるために僧侶に化けて過ごしていたのだ。
会田雄次の『アーロン収容所』はビルマで英軍捕虜となった時に受けた非人道的な奴隷労働生活の記録である。推して知るべしなのである。
なのであくまでも英軍にバレぬように日本語も話せぬビルマの僧侶となり、音楽だけで想いを伝えようとしたのだ。
そう考えるとこの映画の辻褄がぴたっとハマってくる。

映録助