ヨシワラ

劇場公開日:

解説

「南方飛行」「外人部隊(1933)」のピエール・リシャール・ウィルムと「新しき土」の早川雪洲が「恋は終りぬ」の田中路子を相手に主演する映画で、モーリス・デコブラ作の小説をアルノルド・リップ、ウォルフガング・ウィルヘルム及びダポワニーが協力して脚色し、我国には初めての新鋭マックス・オフュルスが監督に当たったもの。助演者は「別れの曲」「罪と罰(1935)」のリュシエンヌ・ルマルシャン、「戦いの前夜」「みどりの園」のローラン・トゥータン、「どん底」のアンドレ・ガブリエロ及びカミーユ・ベール、サイヤール、ポーレエ等である。戦後上映されたフランス映画の第1号。(戦前に輸入していたが、上映禁止だった)

1936年製作/フランス
原題:Yoshiwara
配給:三映社
劇場公開日:1946年2月

ストーリー

江戸が東京と変わって間もない明治初年のことであった。美しい小花は破産の汚辱をそそぐため父が切腹し果てた後、弟を養うため吉原に身を売った。父の代から仕えていた下男の勇は人力を曳きながら画を学んでいる青年で、何とかして小花を救い出そうと心掛けていたが金を作る目当てもなかった。その頃某国軍艦が入港し、乗組のポレノフ中尉は同僚を取り締まるため吉原に赴いた。そこでは小花が泥酔した士官を拒んで自殺しようとしている。彼は士官を懲らして小花を救ったが、これが縁で二人は愛しあうようになり、故国に戻って景れの結婚式を挙げる日を夢みながら幸福に浸る日が続いた。しかし二人の幸福は永くは続かなかった。ポレノフは上陸して怪外国人から書類を受け取り艦が再び入港した時それを持参せよと艦長に命ぜられ、その間は吉原へ行く事を禁じられた。ポレノフは書類を手に入れたが、周囲に監視の眼が光っているので家から持ち出す事ができず、折から秘かに彼を訪ねた小花に内容を秘して書類をことづけた。勇は兼ねて官憲にポレノフの動静を見張るよう指令を受けていたが、小花が書類を懐に家を出るのを見ると、知らずとは云え旧主の娘が売国奴となるのを黙視できなかった。彼は国家の為に自分の希望も幸福も犠牲にする事を決心する。書類は無事に官憲の手に戻ったが、同時に哀れな小花は間諜として銃殺を宣告された。だが小花は知らずに犯したのだ。彼女に罪はない。勇は小花を救う手段に尽きて無実を証明し得る唯一の人ポレノフの許に駆けつけた。ポレノフは無事に帰艦したが熱病で臥っていた。だが恋人の生命が危ないと知った彼は、すぐ跳び起きて海にとびこみ岸に泳ぎついてそのまま法廷へ急いだ。けれども時は既におそかった。小花は刑を執行された後だった。ポレノフは激しい熱にうなされ、幻に小花との婚礼を描きつつ後を追って死んだ。

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映画レビュー

3.0マックス・オフュルス監督による虚構日本世界

2023年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

本作でも、「外国人が見て描く日本の風景」が変すぎて笑える。
フリッツ・ラング監督『ハラキリ』などでも不思議な日本が描かれていたが、外国人が独自の日本を描くと可笑しな珍品映画になるものだ…(笑)

冒頭テロップ「1860年、鎖国を解いた日本の吉原」に続いて、日本庭園で外国人がチョンマゲ&着物という不思議な恰好w
人力車夫の男(早川雪舟)が吉原に入ったばかりの女コハナ(田中道子)に一目惚れ。
しかし、吉原にソ連将校がやって来て、セルゲイとコハナが相思相愛となる。
そんなラブストーリーに「セルゲイがスパイ?」といった物語を絡ませて綴られた映画。

マックス・オフュルス監督作品なので期待してしまうカメラワークは肩透かし感あるが、出演者の後方背景を「書き割りの風景が流れるシーン」は頑張った感あり。

DVD添付資料によれば、オフュルス監督はパテ社スタジオにセットを組み、南仏などの日本庭園でロケして虚構日本世界を作り上げたそうだ。

ちょっと変わったマックス・オフュルス監督作だが、個人的には まあまあ面白かった。

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たいちぃ
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