黄金狂乱

解説

「ファラオの恋」「ダントン」「デセプション」等に主演したエミール・ヤニングス氏が独立して後の作品で、原作はハンス・クレリ氏とルドルフ・シトラッツ氏が書き、「マリア・マグダレナ」の監督主演者なるラインホルト・シュンツェル氏が監督をした。ヤニングス氏の相手は「ファラオの恋」「因縁の指環」等出演のダグニー・セルヴェス嬢である。無声。

1923年製作/83分/ドイツ
原題:Fortune's Fool/Alles fur Geld

ストーリー

牛肉缶詰工場主ルップは、成金の常として黄金万能を信じて居る男であった。彼の怒りに触れ職を失った或る劇場の電気技師のヘンリーには、アスタと云う恋人があった。アスタは母の病気を養う金を得るために、宝石を売ろうとしてルップと知り合いに成り、ルップは彼女に莫大の金を与えた。しかし彼女はヘンリーの忠告により其の金を返しに行って、ルップに結婚を申し込まれた。ルップは彼女の愛をも金で買い得たと信じて居たが、ルップの息子フレッドは之を妨げようとして家を追われた。ルップはフィニックス自動車会社を買収し、自動車競走に相手の会社を破らんとして金力を用いる。競走の際相手会社の車を操縦して居たフレッドは、車に故障の加えてあるのを知らず廻り角で即死する。裁判の結果車に故障を加えたのはルップでない事が判明して、ルップ自ら倅を殺したも同然と罪を自白するに係わらず、無罪を宣告される。ルップの車を操縦したヘンリは恋人アスタと共に彼の傍に来り、ルップをして真の人生の幸福は黄金をもってしては購えぬ事を痛感せしめた。黄金万能を信じたルップは、所詮は淋しい人間であらねば成らなかった。

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