ネル・ギン

解説

ドロシー・ギッシュ嬢が英国のブリティッシュ・ナショナル社の招へいに応じて渡英して出演した第一回主演映画で、マージョリー・バウエン嬢の原作によって「デカメロン夜話」「南方の恋」と同じくハーバート・ウィルコックス氏が監督したものである。「デカメロン夜話」「南方の恋」出演のランドル・エアトン氏やジュリエット・コンプトン嬢、シドニー・フェアブラザー嬢等が共演している。無声。

1926年製作/イギリス
原題:Nell Gwyn

ストーリー

心やさしいネル・ギンは毎日ロンドンの街頭に立って道行く人々にオレンジを売り歩く貧しい娘だった。貧しさ故に化粧もしなかったけれど、彼女の天成の麗質は見る人の眼をあざむかなかった。ある日、いつものように辻にオレンジを立売りしていたネルに、通りがかりのステュアート公は眼をつけオレンジを買い求めた。平民的な貴公子の公はネルを伴ってとある料亭で晩餐を共にした。そして、ネルを王室劇場附の女優に推薦した。乙女心に抱いた希望の実現されるのを悦んだネルは、稽古を励んで見事初舞台に成功を博した。公の寵愛は一入加わりネルを邸に引取ることになった。しかし、卑賎より身を起したネルの栄達はある人々の嫉視を受け、ある晩餐会の席上でネルは侮辱された。頓智の良いネルは早速この事をネタにして次の狂言に皮肉ったものを演じて溜飲を下げた。しかし、ネルの保護者たり愛人たるステュアート公はふと病を得て床に親しむ身となった。病床に馳せつけたネルに、笑顔を所望して眺めながら公は寂しく世を去った。

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