死の船

解説

人間存在の本質を限界状況において描き出す深刻ドラマ。監督は「出口なき犯行」のゲオルク・トレスラー。「激怒」の原作者・メキシコの小説家B・トレヴンの小説を、ハンス・ヤコービーと監督自身が脚色した。撮影はハインツ・ペルク。出演は「カチューシャ物語」のホルスト・ブッフホルツのほか、マリオ・アドルフ、ヘルムート・シュミット、エルケ・ソマー、ヴェルナー・ブットラーら。

1959年製作/西ドイツ
原題:Das Totenschiff

ストーリー

夜の女から枕探しをされたとは知らなかった。身分証明書を破られたことも。若いアメリカの船員、フィリップ・ゲイル(ホルスト・ブッフホルツ)は途方に暮れた。昨夜下船したボルゲーゼ号が出航してい、新しい船員の口を探しに相談所に行った時、始めてわかったのだ。ベルギーの港アントワープでの話である。昨夜の宿の所在は知れなかった。こうなれば、もぐりの船員になるほかはない。どの船でも断られ、あげく、警察に捕まった。こういう場合、ベルギー警察は面倒をさけて、オランダ国境へ送り出す。ロッテルダムにつくと、彼はアメリカ領事館に身分の証明を頼んだ。本国に問い合せるため、三月かかるといわれた。待てなかった。南へ行けば、身分証明なしでも職があると教えられ、仏領へ入った。途中踏切番の娘ミレーヌ(エルケ・ソマー)の暖い心にふれるが、再会を約して別れた。マルセイユにつき、船員のラウスキー(マリオ・アドルフ)に誘われ、“死の船”ヨリッケ号に乗り組むハメになった。証明書なしでよく、アメリカに寄港すると聞いたからだ。この老朽船は、北阿の叛乱軍に積荷の弾丸を売渡し、そのあと沈没させられ、多額の保険金を詐取する計画が秘められていた。重労働が続いた。船員たちは皆、前科者らしく、むろんだれも証明書なしだった。フィリップはラウスキーと親しくなった。積荷の取引きを終ったあと、彼は友と上陸し、酒場で証明書を何通も持つ男に紹介された。それと引きかえに、第三の男を殺せと命じられたが、結局できなかった。今や“死の船”以外に彼の運命をゆだねる場所がないことを、彼は悟った。航海は続けられた。船長はついに悪事を航海士に打ち明け、座礁を命じた。断わった彼は殺された。目標の暗礁が近づいた時、暴風雨となった。船長とその部下二名は、弾丸の売上げで内紛を起し、部下が殺された。その時、船は座礁し、フィリップとラウスキーは海へ逃れた。二人だけが助かったが、ラウスキーは発狂し、船の幻影を求めて海に沈んだ。大海原を、フィリップは、筏のままに漂い流れていくほかなかった。

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