「人生の辛酸と、取り返しのつかなさを知った慟哭」道（1954）　Cape Godさんの映画レビュー（感想・評価）

総合：55点
ストーリー： 60
キャスト： 65
演出： 65
ビジュアル： 60
音楽： 80

　実の親からすら見放され、自分が白痴で誰からも必要とされていないという劣等感からだろうか、彼女はとても純真で献身的である。だが男からすれば、金で買った奴隷に過ぎない。厳しい旅芸人の生活、報われない愛情。見ていて辛い。
　時に人生は不条理である。働けど生活苦は続き、誰からも愛されず、精一杯の献身が実らない。そのようなことばかりあった後で泣き崩れても、もう彼女はいない。やっと気付いたときには取り返しがつかない。そもそも相手の人格を無視して奴隷のように人を扱うこの男がどうにも好きにはなれない。名作なのだろうが、もしこれが自分だったらとか想像してしまうと、可哀想な人たちだね、だけで自分の中でどうも済まないのである。後味悪くてそのぶん点数も辛め。

　ジェルミナは白痴ということらしいが、普通に喋ったりもしているし、解説を見るまではそうとわからなかった。いい配役なのかもしれないが、そこは気になった。