劇場公開日 1951年7月10日

「横溝正史の犬神家の一族の元ネタ?」別動隊 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5横溝正史の犬神家の一族の元ネタ?

2019年7月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

挿入歌のモナリザが超有名
ナット・キング・コールの唄うものが大ヒットしていますが、本作の中ではいきなり冒頭で端役が一節唄うだけです
劇中何度もこの曲のアレンジが演奏されますが、実はロマンチックな愛の歌ではなく、レジスタンスの敵接近警戒せよの合図の曲です
なので映画音楽大全集にはよく収録されている、この美しい曲を堪能しようと本作を観ても肩透かしでがっかりすることになると思います

お話は戦中の裏切り者を探しに4年ぶりに北イタリアの湖畔の田舎町に元米軍大尉が戻って来ると、それを切っ掛けに連続殺人事件が起こるという内容です

これ横溝正史のあの超有名小説犬神家の一族みたいだと思いませんか?
犬神家の一族は本作公開の翌年1951年の発行ですから、もしかしたら本作が元ネタだったのかも知れません
伯爵夫人の老姉妹、戦中のナチの報復で村人が28人殺された因縁とかとかかなり符号します

映画自体は主人公をかなり偉そうで高飛車な解釈で主演の役者が演ずるので感情移入しづらい上に、演出も悪くクライマックスでのカタルシスが不発です
ヒロインも大して美しくないので、彼女にこだわる主人公に説得力もない残念な出来映え

原題はケリー米軍大尉という素っ気ないもの
それを邦題は別動隊としています
主人公はCIAの前身組織OSSの敵地潜入部隊のリーダーであるのでそれを指しているものと思われます
しかしどちらにしても内容を的確に表現できているとは思えません

名曲モナリザに免じて星半個オマケです
なんだか横溝正史の金田一耕助シリーズを読み返したくなりました

あき240