劇場公開日 1998年7月18日

「個性的な登場人物と複雑な物語を上手に融合した映画」L.A.コンフィデンシャル Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5個性的な登場人物と複雑な物語を上手に融合した映画

2013年3月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

知的

総合:85点
ストーリー: 85
キャスト: 85
演出: 75
ビジュアル: 75
音楽: 65

 刑事物といえば、犯罪に対して敢然と立ち向かう刑事が数々の困難を乗り越え命をかけて派手な活劇を展開する。それが昔のハリウッドの定番。しかしこの映画はちょっと違う。

 登場人物はそれぞれが個性的で面白い。例えばガイ・ピアース演じるエド・エクスリー警部は、自分の信じる正義を実行するためには組織内の政治的配慮が必要だったりするのを理解し、譲るところは譲り真実を捻じ曲げて話を作り替えることも厭わない。何にでも正義を振りかざして力ずくで正面突破をはかるわけでなく、双方に都合のよくなる結末を描いて組織を利用する策謀家である。エリートで奇麗事ばかりを並べ立てる青臭い刑事や、事件にやむを得ず巻き込まれただけの被害者的な正義漢の刑事といった従来のハリウッドらしい警察官とは一味違う。
 だから物語のほうも犯罪の全容を明らかにしてそれと対決すれば終わりとはならない。また犯罪を追うだけでなく、誰が味方となりうるのか利用できるのか複雑な人間関係や利害関係を把握していく過程もよい。

 その意味では比較的はっきりした善悪・物語・登場人物が多いハリウッド刑事ものと違い、細やかな設定がよく練られているなと思う。

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Cape God