劇場公開日 2012年2月11日

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51(ウーイー) 世界で一番小さく生まれたパンダ : インタビュー

2012年2月10日更新
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長谷川潤、映画ナレーション初挑戦で抱いた自らの将来像とは?

ファッションモデルとしてキャリアをスタートさせ、現在はタレント、女優としても活躍する長谷川潤が2012年、新たに挑戦するのは映画「51(ウーイー)世界で一番小さく生まれたパンダ」(2月11日公開)のナレーションだ。「お話をいただいたときは、えっ!? 私?って驚いたんです。自分にナレーションができるとは思ってもみなかったので……」と、意外なオファーだったと言うが、今作のナレーションに選ばれたのには大きな理由がある。ヒマワリのような天真爛漫な笑顔と包み込むような温かな雰囲気──超未熟児パンダとお母さんパンダの絆を伝えるには、長谷川だからこそ出せる“やわらかな愛情”が必要だったのだ。(取材・文/新谷里映、写真/本城典子)

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同作は、2006年に成都パンダ研究基地で、通常のパンダの赤ちゃんの3分の1の体重、わずか51グラムの超未熟児で生まれたウーイー(中国語で、ウー=5、イー=1の意)の成長と、お母さんパンダとのせつない絆を描いた感動のドキュメンタリー。ナレーションの収録中、ウーイーをはじめとする赤ちゃんパンダのかわいさに「もうキュンキュンしました! 泣きそうになるほどかわいくて!」と満面の笑みを浮かべ、知られざるパンダの世界と生態に驚きを隠せなかったと語る。

「まずびっくりしたのは、パンダは双子を産む確率が多いことですね。しかも生まれた2匹の強い方だけをケアする、もう一匹は生きていてもケアをしないというのにはびっくりしました。想像妊娠、育児放棄、代理母といった、人間の女性にあるようなことがパンダにもあるんです。子どもを産むときの表情なんかは、ものすごく苦しそうで、人間に近いなって。体つきは大きいのに、ものすごくつらそうに出産するんですけど、生まれたパンダの赤ちゃんはものすごく小さくて(笑)。もっと大きい赤ちゃんだと思っていたので、それも驚きでしたね」。また、映画ではオスのパンダはほとんど登場せず、母親と子どもの絆がメインで描かれる。そんな母子の関係性は、昨夏に結婚を発表し、新しい人生を歩き出した長谷川自身の母性本能をくすぐった。

「私もいつかは子どもを産みたいと思っているので、きっと(その時が来たら)パンダと同じように、いいママになれるのかな? っていう不安を抱くと思うんです。あと、どんな家庭にしたいかも考えたりしました。理想は、愛にあふれていて、よく笑って、何でも話し合える家族。それは私自身が育ってきた環境でもあるけれど、逆に自分が経験できなかったこと──家族で一緒に何かをすることが少なかったので、これから作る自分の家庭はそれを大事にしていきたいと思っているんです。そして、いつか自分に子どもが生まれたらこの映画を見せたい! その日がものすごく楽しみなんですよね」。長谷川がウーイーを通じて家族の在り方を考えたように、観客の心にも届くはずだ。

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「完璧すぎないナチュラルな感じのナレーションにしたい」という製作サイドのオファーを受けた長谷川だが、アメリカ人の父と日本人の母のもとに生まれ、2歳のときにアメリカのニューハンプシャー州からハワイ州へ、16歳のときに東京で本格的にモデルとしてデビュー。海外生活が長かったため、日本語でのナレーションはチャレンジングであり、あのやわらかく温かなナレーションの背景には、もちろん努力があった。

「台本に書かれている知らない単語を調べる作業から始めました。初めて目にする単語もたくさんあって……。文章をすらすら読めるようになるまで、かなり練習をしましたね」。これまでに、映画「ホノカアボーイ」に出演するなど演技経験はあるものの、「演技とナレーションは全く別もの」と苦労を明かす。「決められた尺に合わせることが一番難しかったですね。また、日本語のイントネーションも、たくさん直されました(苦笑)。さらに、(物語に合わせて)感情を込めなくてはならないので、イントネーションと感情と時間、その3つをバランスよくこなすのに集中力を使いました」

努力を重ね、ウーイーとお母さんパンダの気持ちを想像し、そっと寄り添い、映像に言葉という命を吹き込んだ長谷川。感情を込めすぎて涙があふれそうになったこともあると話す瞳には、うっすらと涙がにじむ。そして、一番共感したという思い出のシーンには、母と子のほほ笑ましくもせつないシーンを挙げる。

「個人的にキュンとしたのは、最後にウーイーがママと会うシーンですね。なんで僕を選んでくれなかったの? って、実際にウーイーがそう思っていたのかどうかは分からないけれど、ちょっとすねている感じ、甘えられない感じにキュンとしちゃったんです。本当は甘えたいのに甘えられなくて、いじけたりすねたり、そういう気持ちわかる! って共感してしまったんですよね。私自身も子どもの頃、ウーイーみたいだったから(笑)。ドキュメンタリーの良さは、そんなふうに心に直接グッと刺さること、すべてがリアルであること、自分がまるでそこにいるかのように思えることだと思うんですよね。もともと動物や自然を映し出したドキュメンタリーが大好きなので、今回のナレーションのオファーは本当にうれしかった。ただ、残念ながら私はまだ本物のパンダを見たことがないんです。なので、近いうちに自分の目でパンダを見て見たい! そして赤ちゃんパンダを抱っこしてみたいんです!」

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