劇場公開日 2013年3月1日

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「再生の物語。失ったものは大きいが…」フライト Marikoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0再生の物語。失ったものは大きいが…

2020年4月8日
iPhoneアプリから投稿

デンゼル・ワシントン演技うますぎ。ロバート・ゼメキス監督、さすが。

期待通りの映画でした。
コーヒー飲むの忘れてたくらい没頭した2時間25分。

まず冒頭の墜落シーンのど迫力に圧倒されて(こんなシーンはハリウッドにしか撮れない!)感嘆。

奇跡的な操縦で草原に不時着し、多くの乗客の命を救ったベテランパイロットは一躍英雄に。でも彼には重大な秘密があり、その運命は天から地へまさに急降下...。
(今回はあまりネタばらししないでおきますね(^^;; ″この先どうなるんや⁈″と観てほしいので)

一見 エリート街道を生きている一人の人間の、その堕落と心の闇。
彼はこの事故をきっかけに、嘘で塗り固めてきた今までの人生と否応無く向き合うことになります。

家族をはじめ、彼を救おうとする周りの人達を裏切り続け、まだか、まだか、というほど底に落ちていく。

そんな彼のすさんだ心の奥に、まだ残っていた僅かな良心が目覚めるのは、大切な人の遺影を見た瞬間。。。なんか、わかる。
尋問会のやりとりにハラハラしながらも、この展開にどこかホッとした私なんです。認める事は勇気のいること。
でも、彼がこれまで裏切り続けていたのは他人だけでなく、自分自身もだったのですね。

受刑者の前で語る言葉に涙がとまらなかったーーー!´д` ;
化粧とれたーーー

受け入れて、変わる勇気。
時には容易ではないけど...

また、この映画は、ドラッグやアルコール依存症についてもよく知る機会となりました。
私は、人間というものは所詮弱い生き物だと思っています。一歩間違えば私だってどうなるかわからないし、誰にも話したくない過去もあります。
そしてこれからたとえば、死ぬほどつらい事があって少しの間だけでも忘れたい時に、身近にアルコールやドラッグの誘惑があったら...? 100%の自信はありません。

でも、人間は弱い一方で、それを克服する強さも持ち合わせています。
私は、この映画は、一人の人間の【再生】の物語なんだなぁ、と思いました。だからこそ、最後の彼の言葉『今、最高に自由な気分だ』には、『もう自分を偽らなくてもいい。嘘を重ねなくてもいい』という思いが込められているんだと感じ、認める事によってその懺悔に周りも救われ、もちろん彼自身も救われ、人間はいつからでもやり直せるんだと希望を貰えました。

いい映画です。ぜひ。

Mariko