劇場公開日 2013年3月1日

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「あらゆる信仰に背を向けた主人公に突きつけられる命題が秀逸」フライト よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0あらゆる信仰に背を向けた主人公に突きつけられる命題が秀逸

2018年5月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

不倫相手のCAとベロベロに泥酔した翌朝、寝起きにコカインで景気づけて搭乗するも機体故障で墜落寸前。それでもウォッカをガブ飲みしてアクロバットな背面飛行で不時着に成功したパイロット。96名の命を救った英雄となるか、6名の命を奪った罪人として裁かれるか、究極の2択の狭間で揺さぶられる話。ロック・ミュージカルの『ロック・オブ・エイジス』と同じく、キリスト教的寓話が散りばめられていて、墜落現場はペンテコステ派の教会の敷地、生還したベテランCA他もそれぞれ信仰を持っており、カメラマン崩れで元ポルノ女優でヘロイン中毒の女性が主人公に救いの手を差し伸べるマグダラのマリア。あらゆる信仰に背を向けてなお酒浸りの主人公に最後に突きつけられる実にイソップ寓話的な命題が秀逸。
それでいて酒、タバコ、コカインからエロ本までの嗜好品でパンパンのカバンを持って電話一本で駆けつけるジョン・グッドマンが毎度ストーンズをBGMに能天気に登場するシーンは最高にファンキーで爆笑。その後にシレっと”With a Little Help from My Friends”を被せるセンスも粋でした。

よね