劇場公開日 2014年7月5日

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「ポリコレ極まる駄作」マレフィセント 昭和ヒヨコッコ砲さんの映画レビュー(感想・評価)

0.5ポリコレ極まる駄作

2021年10月6日
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寝られる

「眠れる森の美女」のスピンオフ実写という位置付けなのに冒頭で「これが本当の出来事です」とオーロラ姫に言わせてしまう。
これがもう本当に先人である原作者やアニメ映画を制作したスタッフたちへの敬意も何もない最低のクリエイターの精神。
こっちが本物であっちが偽物なんて二次創作でやっていいことじゃない。

本作では実写化を謳い、マレフィセントの代表的なシーン「well,well,well…」を広告に使い、「眠れる森の美女」の正当な実写化であることを仄めかしながらもその内容は大きく異なるのは非常にフェアではない。
収益のために使えるものは使うがリスペクトはしないなんてクリエイターとして下品とさえ感じる。

また、マレフィセントにスポットを当てている以上、マレフィセントというキャラクターの魅力を掘り下げる必要があるのだが、上記も通り、我々の知るマレフィセントはそこにはいない。
主役になったことでマレフィセントは善性の強いキャラクターとなり、恋人に裏切られたかわいそうな被害者となった。
一方でマレフィセントを相対的に持ち上げるために分かりやすいマイナス要素を付け足されたキャラクターたち。
ステファン王は出世欲が強く非道。
フィリップ王子は中身空っぽで役立たず。
3人の妖精たちはポンコツ。
徹頭徹尾、マレフィセントは優秀で優しい。他はクソ。例外はオーロラだけ。となっている。
本作のテーマであろう「真実の愛(母性)」を描くときも「王子様のキスでは呪いは解けないけど母性なら呪いを解ける」という相対性でしか表現できていない。
実にしょうもない描き方。
実の母である王妃も影が薄い。

最終的にオーロラは実の父親を殺した魔女と共にあることを選ぶ。
そこに葛藤は全く描かれることなく爽やかなオーロラの笑顔がある。
疎遠で良い印象が無かったかもしれないけど、肉親だろうに。
このオーロラは美しくない。

同様のポリコレの犠牲になった「アナと雪の女王」はキャッチーな楽曲によって何とか自立する人気作になったが、シナリオの歪さは共通している。
しかし、マレフィセントはそううまくはいかなかった。
アナと雪の女王と違って光る部分もなければ一本の映画としても優れている所が無いと個人的には思っている。

昭和ヒヨコッコ砲