劇場公開日 2013年3月8日

  • 予告編を見る

「表向きはファミリーファンタジー、裏はTHE女のバトル」オズ はじまりの戦い 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5表向きはファミリーファンタジー、裏はTHE女のバトル

2013年3月10日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

名作「オズの魔法使い」の前日譚。
1939年の有名映画はだいぶ前に見たが、正直ちょっとうろ覚え。
なので、ほとんど予備知識ナシで、純粋に一本のファンタジーとして見た。

インチキ手品師のオズは、乗った気球ごと竜巻に飛ばされ、不思議な世界に辿り着く。そこは魔法の国オズで、伝説の魔法使いと勘違いされたオズは、悪い魔女から国を救う事に…!?

冒頭の現実世界はモノクロ映像。魔法の世界はカラフルな3D映像。
3Dの醍醐味が存分に活かされた映像は、本当に魔法の世界に迷い込んだ感覚を体験させてくれる。
魔法の世界にはユニークなキャラクターが付き物。“ベルボーイモンキー”と“しかめっ面”はナイスキャラ、ちょっとおマセな陶器の少女は愛らしい。

どこまでもファンタジックで楽しいファミリームービーだが、結構ブラックな一面も。
ジェームズ・フランコ演じる主人公オズは、口が達者で傲慢でお調子者で女好き。なかなかの最低男。
(余談だが、冒頭で気球に乗って逃げる高笑いのオズが、何故か怪人二十面相に見えたのは僕だけ…?)
西の魔女セオドラにミラ・クニス、東の魔女エヴァノラにレイチェル・ワイズ、南の魔女グリンダにミシェル・ウィリアムズ(インディーズ作品のイメージが強いミシェルにしては珍しい役!)、豪華な女優陣がそれぞれ扮した三人の魔女が三者三様。
純真、腹黒、慈愛…。この三人の女のバトルこそ、本作一番の見所だろう。

オズの薄情さが一人の魔女の運命を狂わせてしまう。愛が嫉妬へ。
しかし、オズも根は善良。現実世界で足の不自由な少女を治せなかったオズが、魔法の世界で陶器の少女の足を治すシーンは印象的。

とは言え、全体的に見るとやっぱり子供向け。三人の魔女の関係性はすぐ予想がつき、ラストバトルとなる一世一代の大ペテンは見てて楽しいが、ハラハラドキドキはさほど盛り上がらない。
せっかくオスカー受賞&ノミネート経験アリの実力俳優を配しながら、揃いも揃ってアニメ演技なのも難点。
「アリス・イン・ワンダーランド」の二番煎じと言われても反論は出来ない。
サム・ライミが監督でもティム・バートンが監督でもどちらでも良かったように感じてしまった。

ファンタジーを好きか否か、ファミリー向けの内容を楽しめるか否かでかなり賛否分かれるだろう。
でも、楽しい一時には浸れた。
この余韻が残ってる内に、続き(レンタルしてきた「オズの魔法使」)を見よう。

近大