劇場公開日 2011年12月17日

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「 ドキュメンタリー監督だけあって、映像や展開などはドキュメンタリー...」無言歌 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 ドキュメンタリー監督だけあって、映像や展開などはドキュメンタリー...

2021年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ドキュメンタリー監督だけあって、映像や展開などはドキュメンタリーなのではないかと見間違うほどの作品。スターリン批判の影響もあって、中国においても百花斉放百家争鳴が提唱されたが、そこで意見を述べた知識人たちが“右派分子”として粛清され、強制労働を強いられる再教育収容所へと送られた。中にはこのドラマのように、本当の右派ではなく、単に意見を述べただけのものもいたことは想像に難くない。

 塹壕掘りの強制労働の中、食うモノもろくに与えられず、疲れ果てた体はネズミを獲って食べたり、草をお粥の具にしたりと過酷な状況。もっとも悲惨に思えたシーンは、仲間の労働者が吐いた穀物を拾って食べる老人・・・食欲がなくなること間違いなし!さらに、衰弱して死んでいく者も多いが、その死体が埋められている墓(とはいっても、広い荒野にぽつりぽつりと墓標を立てるだけ)を荒らして、人肉を喰らう者までいる始末だ。さすがにその映像はなかったが・・・(汗)

 物語は、衰弱して死んだドン・シェンイー(ヤン)の妻グー(シュー)が収容所を訪れるといった展開で、遺体を返して欲しいと泣き叫ぶが、荒野のどこに埋められているのかわからない状態で、狂ったかのように夫の遺体を捜す姿が痛々しく描き出される。

 ストーリーとしては雑然としていて、夫の遺体を捜す妻の物語から一転して脱走する二人を描き、そして死者が多くなったため収容者を帰国させるまで。虚しくさせるだけの映画だ。

kossy