劇場公開日 2019年3月29日

「ダメ人間だっていいじゃん!」ショーン・オブ・ザ・デッド とえさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ダメ人間だっていいじゃん!

2019年5月2日
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鑑賞方法:映画館

面白かった!

笑えるゾンビ映画!

毎日、たいして好きでもない仕事をしているショーンは、仕事が終わると、親友エドと一緒にパブでビールを飲み、家でゲームをして過ごしている自堕落なダメ人間

そのせいか、恋人リズに愛想をつかされ、両親との約束も忘れがち

しかし、ある時、突然、ゾンビが大量発生し、ショーンに襲いかかる!

よくあるゾンビ映画では「運命に選ばれし美男美女」がヒーローとなって、ゾンビから人類滅亡の危機を救う

しかし、この映画は違う
美男美女など出てこないし、ヒーローもいない

主人公は、ビールとゲームが大好きで、酔っ払っては恋人との約束を忘れちゃうようなダメ人間だ

でも、現実世界に生きる私たちは、選ばれし者でもないし、ヒーローでもなく、どちらかと言えば、ダメ人間だ

休みの日は、何事もなく怠惰に一日が過ぎていき「あぁ、今日も一日終わっちゃった…」と思う
多くの人が、そんな日々を過ごしたことがあるだろう

この映画は、そんな愛すべきダメ人間への優しさと愛に溢れた映画だった

たとえば、
恋人との関係を改善しようと思っていたショーンの目の前に現れたゾンビの大群

そんなゾンビたちは、ダメ人間ショーンを目覚めさせる役割を果たしている

いくらダメ人間だって、生きるか死ぬかの環境に置かれたら
人生を見つめ直し、恋人や、両親への想いに気づかされるのではないか…と

確かに、ゾンビの襲撃に遭ったショーンは目覚め、恋人リズや愛するママを救いに行く

でも、気持ちは空回りし、いつも、どこかずっこけていて、頼りない

いや、いや、そこにいるのが一番安全なんじゃないの…
わざわざ、パブに行かなくても良いんじゃないの?
やっぱり、ビールとゲームが恋しいだけじゃないの…??って

けれど、この映画は、彼らがそんな風に完璧じゃなくて、ちょっと足りないからこそ良いのだ

人生とは、ショーンの救出計画のように思うようにいかないことの積み重ねなのだ

だからといって、人は突然、ヒーローにはなれないし、確かにダメ人間かもしれない

それでも、失敗から学ぶこともあるし、少しずつだけど成長することだってあるのだ

そんな「普通の人々」に対する愛情に溢れた温かいゾンビ映画だった

ゾンビ映画と聞いて、拒絶してしまう人もいるかもしれないけど、笑えるところが満載で、ちっとも怖くないので、コメディ映画好きな人に、ぜひ、観て欲しい作品

ダメ人間だって良いじゃん!
って思えるところが良かった

とえ