劇場公開日 2012年7月21日

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「“遊び”は少し足りないけれど、母娘の絆に素直に笑って泣ける」メリダとおそろしの森 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5“遊び”は少し足りないけれど、母娘の絆に素直に笑って泣ける

2012年9月18日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

怖い

えー、「アニメが苦手」とこの場を借りて前々から言ってた僕ですが、
告白するとジブリアニメすら数年前まで進んで観た事がありませんでした。
この事を会社の同僚に話したら「非国民ですねッ!」と罵られた(爆)
ま、物心付かない頃に観た『風の谷のナウシカ』の巨大な虫(オウム?)が
死ぬほど怖かったというトラウマ的なものに起因してるんですがね。

そんなこんなで他の方より随分醒めたアニメ観を持っている僕。
その自分が唯一積極的に観たいと思うのが、ピクサー作品。
アニメは子どもだけのものじゃない!という意見は多いし賛同もするけど、
逆に日本はアニメが大人のものになり過ぎてる時があるとしばしば感じる。
で、大人も子どもも安心して楽しめるピクサー作品に好感を抱いてるんでしょうね、僕は。

反感買いまくり発言な上に前置きも長くなったが
今更ながらの『メリダとおそろしの森』レビュー。
やあ、今回も水準以上の出来でした。

ピクサー作品の主人公っていつも不完全。けど、
自分の過ちを正す為に必死に頑張り、成長していく所が良い。
今回のメリダもそうだ。自分の身勝手さの為に熊に変わってしまった母を救おうとする内、
家族の絆、自分の進むべき道をも見つけ出していく。
変わり果ててなお、娘を守る為に命懸けで闘う母の姿にも涙。
知らぬ間に成長していた娘の姿に感動するシーンも泣ける。
母娘の絆ってステキだね。

危惧していた大島優子の吹替も予想外に巧い。
ま、声優さんの上手下手ってあまり分からないけど、
彼女が演ると聞いてなかったら僕はたぶん気付かなかったな。

だが本作、
他ピクサー作品と比べて、ただ眺めてるだけでエキサイトできるような
疾走感溢れるシーンが少なかったように思える。

それと物語のテンポ。感動的だが、急ぎ足。
やんちゃグマ3兄弟、やたらフランクな魔女、おとぼけ王&王子達、
動けば動くだけ面白くなりそうなキャラがワラワラ居るのに、
それら皆が、なんかこう、もうひと頑張り足りない。もっと彼らを観たかった。
これはキャラの魅力不足なのではなく、魅力的だからこその不満なんだけどね。

語りたい物語はしっかり語られてると思うが、
語ることに集中し過ぎて余裕が無い感じかな。
アクションも笑いも、もっともっと“遊び”があって良かったかと。

という訳で、ちょいと辛めの3.5判定。
けど、親子揃って楽しめる良作でした。

<2012/7/21鑑賞>

浮遊きびなご