劇場公開日 2012年9月7日

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「面白いが、ライアン・レイノルズではデンゼル・ワシントンを蹴落とせない」デンジャラス・ラン マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0面白いが、ライアン・レイノルズではデンゼル・ワシントンを蹴落とせない

2012年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

どんな局面でも冷静沈着に行動し、相手を言葉巧みに誘導する元CIAのフロストをデンゼル・ワシントンが好演。善人も悪人も演じてきた彼ならではの怪しさがあり、観る者を翻弄する。
対するライアン・レイノルズ演じる新米のウェストンが、実践経験では劣るものの思いのほか頭がキレて、対等とはいかないまでもフロストにがむしゃらに食らいつく。この作品の面白さはそこに尽きる。

はじめはロクに何も出来ない経験不足の若造と高を括っていたフロストも、しだいにウェストンの洞察力と行動力に一目置くようになる。
これは、見ているこちらもまったく同じ目線でウェストンのことを見なおしていく。
もちろん、何を企んでいるのかフロストを観察する面白さもあるが、CIA内部に巣食う汚職だの隠蔽工作といった題材は多くの映画の素材になっているので、それだけでは今さらという感がある。
やはり本作での見どころは、一癖も二癖もあるフロストが若いウェストンに自分を超えるかも知れない才能を認めていくところにある。

これでライアン・レイノルズがもう少し個性のある役者だったら文句なしだった。好感が持てる役者ではあるが、主役よりサブ向きだ。本来であれば、デンゼル・ワシントンによる一枚看板を引っくり返すようなキャスティングでなければ面白くない。「アンストッパブル」(2010)のクリス・パインのようにだ。

マスター@だんだん