劇場公開日 2012年2月11日

逆転裁判 : インタビュー

2012年2月12日更新
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成宮寛貴、30歳を目前に“生涯俳優”を決意

人気ゲームの実写映画化は過去にいくつもあるが、ここまで忠実かつ大胆な装いを施したものは珍しい。「逆転裁判」。主演の成宮寛貴も「コスプレですからねえ」と苦笑いで振り返りつつ、念願だった三池崇史監督との初仕事を十分に楽しんだ様子だ。映画デビューから10年余、節目となる30歳を目前にして俳優を生涯の仕事と決めた男は、さらなる飛躍を期すための未来像を描いている。(取材・文/鈴木元、写真/堀弥生)

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三池監督は日本一多忙といわれ、俳優からの人気も高い。成宮も例外ではなく、友人や周囲からその評判を聞いていた。実際に何度かオファーを受けたこともあったそうだが、時機が合わず実現していなかったという。

「作品が毎回違うというのがすごい。世界観が確立されていて、役者にすごく人気がある。それを実感してみたいと思っていました。『逆転裁判』を実写化するのは大変で、きっと三池さんでなければ実写化できないと思っていたので、仕事ができるということでものすごくテンションが上がりました」

“原作”は、累計420万本を売り上げたゲーム。近未来を舞台に、刑事裁判の迅速化のために導入された、弁護士と検事が直接対決し3日で判決を下す「序審裁判」による法廷闘争が繰り広げられる。映画は、その世界観をそっくりそのままスクリーンに投影しようという試みだ。キャラクターの衣装、髪型もアニメの世界から抜け出てきたようで、成宮が演じた主人公の新米弁護士・成歩堂龍一は、「魔法使いサリー」のカブをイメージしてしまう。

「まあ、基本的にはコスプレですからねえ。最初は慣れなかったですね。芝居をするのにもすごく違和感があって、その気持ちが早くなくならないと成歩堂になれないと思い、ずっと自分のことを鏡で見て慣れさせていました。三池さんもニヤニヤしながら来て、『当分は見た目との勝負だね』って言うので、悔しいと思いながらその通りだと思ってやっていました」

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それでもクランクイン当初は、自ら考えていた演技プランと監督の意図に齟齬(そご)があったという。ゲームのように、プレイヤーが成歩堂になる主観で裁判に挑んでいくスタイルを想定していたが、撮影は主人公の感情を極力抑えた形で進んでいった。

「監督のルールの中で動くのが俳優だと思っているので、監督の言うことを聞くのが一番なんですけれど、最初はあまりにも考え方が違ったのでビックリしました。僕は主人公として、観客を引っ張っていくつもりで芝居をしていたのですが、成歩堂がある決意をして話が進んでいくシーンでも僕の後ろ姿しか撮らないので、どういうことだろう?という感じがすごくあったんです。でも次第に、この映画は少し観客を引き離して、ある種ドライに客観視する作品にするんだということが分かったんですね。成歩堂が何を考えているか分からないスタイルにすることで、さらにスピード感が増すなと」

主要な舞台となる大法廷は、京都の東映撮影所に巨大なセットが組まれた。そこで成歩堂は、複雑に絡み合う複数の事件の裁判に次々と挑んでいく。証拠品を提示するモニターが宙に浮かび、原告・被告側の意思で自由に行き交うようなCGカットも多彩で、まさに近未来型の法廷バトルと呼ぶにふさわしい迫力、緊張感がある。

「セットは本当に素晴らしかった。想像していたよりも大きくて、すべての壁が閉じられていて360度から撮れるし、密室感もすごかった。裁判では、大きな山が大法廷だけで3つもあるんです。CGもモニターをぶつけたりするのが一種の攻撃方法なので、重さはあるのか、風を感じるのかということを考えながらでした。漫画の1コマのように(台本の)1行ずつ撮っていったので、気持ちをつなげるために集中しなくてはいけなかった。すごく頭も使いましたけれど、楽しかったですよ」

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インタビュー2 ~成宮寛貴、30歳を目前に“生涯俳優”を決意(2/2)
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