劇場公開日 2012年1月28日

麒麟の翼 劇場版・新参者のレビュー・感想・評価

全70件中、61~70件目を表示

4.0次は、貴方の番だ。

2012年2月9日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

「いま、会いにゆきます」などの作品で知られる土井裕泰監督が、最新作「テルマエ・ロマエ」で全く違和感のない古代ローマ人を演じる阿部寛を主演に迎えて描く、人情ミステリー作品。

テレビドラマ「新参者」で、高い人気を獲得した東野圭吾作品のキャラクター、加賀恭一郎。これまでにも、数人の役者が演じてきた異色の刑事だが、原作者が「一番、自分のイメージに合っている」と語るのが本作の主演を務めた阿部寛だ。

ベストセラーの原作、キャラクターを的確に体現する役者、阿部寛の登場。その二つがそろって初めて、本作を製作する覚悟が出来たのだろう。「映画だから、見せ場をドカーンと作りまっせ」と、不可解なアクションシーンや遠景だけの海外ロケカットを鼻息荒くぶち込むことなく、極めてシンプルに(言い方を変えれば、地味に)2時間強の物語を手堅くまとめた。

映画「ハナミズキ」で、女優新垣結衣の可憐さと意志の強い眼差しを掬い取った作り手は、本作でも彼女を起用。触れるだけで壊れてしまいそうな繊細な魅力と、阿部のいくら叩いても逆にはね返されそうな頑丈さの対比がストーリー全体にユーモアと軽快さを与え、作品としての個性を支えている。

骨太、硬派なミステリーを期待する男性観客向けというよりは、溝端、松坂、阿部のイケメン軍団で目の保養がしたい女性観客をターゲットに据えた映画という趣向が強い。凄惨な殺人描写もないので、幅広い世代の方々が安心して見られるという味わいは、さすがの娯楽映画の名手、土井の才気がなせる技だろう。

冷静さと、人間らしい暖かさを併せ持つ刑事、加賀恭一郎の活躍を描く東野圭吾原作は、まだ数本ある。さあ、映画人よ、この人情刑事はスクリーンに飛び出すタイミングを今か、今かと待っている。

次は、貴方が使う番だ。

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ダックス奮闘{ふんとう}

3.0真の事件解決とは・・・

2012年2月4日
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泣ける

笑える

一見クールだが事件の真髄を見極めようとする加賀恭一郎に阿部寛がマッチ。上背があり、スクリーンでも映える。

また、加賀の従弟にして警視庁捜査一課刑事・松宮脩平を演じた溝端淳平がいい。阿部寛との息が合っていて、いじられキャラとしても面白いが、動きがよく、終盤の地下鉄ホームのシーンを躍動感あるものにした。

音楽は《「新参者」メインテーマ》がセンセーショナルな旋律とアレンジで耳に残るが、初回の捜査会議で流れる音楽はチャラけていて音質も甲高く、肝心な台詞が聴きとりづらい。
メインテーマ同様よかったのがJUJUの《sign》。取って付けたようなEDテーマソングが多い中、珍しく映画の雰囲気に合っていた。

主人公・加賀恭一郎にとって事件の解決とは、真犯人を見つけ出すことだけではない。事件によって人生の岐路に立たされた人々に、真実を示してみせることで真の解決を迎えるのだ。
事件が起こった背景を、ただ証拠集めのために捜査するのではなく、事件の奥底にある人の心を探ることが刑事・加賀恭一郎の信条なのだ。
亡くなった人が守りたかったものを見極め、法の裁きとは別に死者の意を汲む加賀の人間的な温かみが魅力だ。

昨年読んだ東野圭吾の「真夏の方程式」からも同じような温かみを感じた。

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マスター@だんだん

4.0伝えたくても伝えられないこと。

2012年2月3日
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泣ける

悲しい

原作を先に読んでしまった。
ので、犯人はわかっている。
その分、ミステリーとしても面白みが欠けてしまった。
やっぱり、ミステリーは、謎がわかっていない方が良いな。

でも、この作品は、人間の繋がりや感情がとても細やかに描かれていた。

親と子。
恋人同士。
友人。
夫婦。
親戚。
子弟。
上司と部下。

普段、顔を合わせる頻度が多いほど、照れくさいことは言いにくいものなのか。
聞きにくいものなのか。
かもしれない。

都合の悪いことを隠す体質。
誰にでもあると思う。

ミステリーを軸に、伝えたくても伝えられない人間同士のドラマ。

人間の心の襞に染み渡るような、加賀の言葉が胸を打つ。

ちょこちょこ挟まる、加賀と松宮のコンビの可笑しさもちょうど良い。

原作を読んでいなかったら、もう少し点が高かったかも。

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りりー

4.0親子愛の物語

2012年2月3日
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泣ける

興奮

萌える

まだ原作を読んでいないので、作品としては面白かったと思います。犯人と思われた人が犯人でなかった。色々なトリックがありましたが、最終的には親子の愛情の物語だと思いました。阿部ちゃんと溝端君のかけあいも面白いし、なぜ麒麟の翼なのかよくわかりました。

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未散

4.5麒麟の翼

2012年2月1日
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笑える

楽しい

知的

面白かった。
ただ 映画の上映時間の枠では 急展開過ぎる気がしなくもないが・・・楽しめました。
1月28日テレビ放送の『理想の息子 #3』を見た人は特に笑える場面があります。
麒麟の翼には 全く関係ありませんが。

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日出来屋

3.5孝行したい時に親はナイ

2012年1月31日
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悲しい

寝られる

東野圭吾の小説は、「容疑者Xの献身」くらいしか読んでないし、ドラマ、映画も容疑者-の他は1,2本見たかな、という程度。
ドラマ・新参者も1、2回見たくらいで、この作品のバックグラウンドはあまり知らない…。

妻(46歳、パート)、長男(私立中1年)の家族3人で、封切り2日めに錦糸町で鑑賞。
東野作品はだいたい見たり、読んだりしている妻は、見終わって開口一番、「ダメだねー」。
続けて、「原作をそのままほとんどなぞっただけ。あれならテレビで十分って感じ」と言った。

僕は、そこそこおもしろいかな、と思ったのだが、妻の指摘が正しいと思う。

監督はドラマ版の演出も手がけたTBSの社員ディレクター。
確かに、過不足ない演出で問題はない、とも思えるが、やはり映画に必要なスケール感と映像、そして芝居の深み、奥行きが足りないのだ。

具体的にどこに問題があるか、とは説明しにくいが、全体に薄味なんだよね。
確かにテレビで見ればコト足りる内容。
映画的な感動を味わえるまでには至らない、とは言えるだろう。

ただ、阿部チャン演じる主人公の父親(山崎努)の最期を巡るエピソードの部分は、親に孝行できなかった自分にはちょっと泣けたね。

映像化で原作本がバカ売れの東野先生は、ウハウハかな。
※ただし、麒麟の翼の原作本の印税の一部は震災被災地に寄付してるらしいけどね。

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町谷東光

4.5期待通り

2012年1月29日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

テレビドラマ派、原作派、どちらも満足させることのできる秀作。

眼で演技する阿部寛。
時折見せる笑顔が圧倒的に美しいガッキー。
役者のレベルは、原作のイメージを邪魔しない水準。

「新参者」のときの安っぽいテーマソングはほとんど使われず、BGMも秀逸。

オススメです。

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トライスター

4.5原作に忠実。あらすじをしっていても、最後は泣けます。

2012年1月29日
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鑑賞方法:映画館

原作者東野圭吾自身が、シリーズ最高傑作と言う『麒麟の翼』の映画化作品。

原作は読んでいてその面白さは知っていたのですが、本は面白いのに映像化されるとイマイチと言う事が良くあるので、ちょっと心配していたんですが、その心配は杞憂だったようです。ここに至るまで、TV連続ドラマとTVスペシャルドラマとして、加賀恭一郎シリーズは作られていたので、杞憂だったようです。

このシリーズの肝は、やっぱり阿部寛演じる“阿部”恭一郎では無いでしょうか。この作品でも、その魅力は十分発揮されていました。かっこいいですね。

一方、溝端淳平クンですが、う~ん。頑張ってはいますが、刑事には見えない・・・。若すぎるのかなぁ。もう少し、渋さが加わるといいのかも。あと、黒木メイサも、このシリーズだと、なんか浮きませんか? 若手の二人が若干微妙です。

本での金森看護師のイメージは、もう少し年齢の高いベテラン看護師のイメージですが、田中麗奈だと、ベテランと言うよりは、主任クラスのバリバリのやり手と言う感じですね。まぁ、そう言うのもアリですかね。

新垣結衣が、可憐で強い女性を演じています。中原香織は、ガッキーで正解ですかね。

ちょっと気になったのが、TBSの制作ということで、あとで地上波放送が容易な様に(と言う意図では無いかもしれませんが)、編集ポイントが所々にあるところ。映画ではなくて、「ここでCMだな」と言う事を感じるTV的なカット割りなんですよね。全体の流れを絶ち切ってしまうようで、気になってしまいました。

最初の頃から悠人が水泳をしていることをほのめかすなどなど、原作とは違う所はありますが、それは演出上の都合と言う事でよしとしましょう。その意味では、概ね原作に忠実に作られていて、それほど違和感は感じませんでした。

原作を読んでいるので、話の筋は知っているんですが、最後はうっかり泣きそうになってしまいました(苦笑)。中々見応えのある映画です。あ~、日本橋行きたくなった!

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勝手な評論家

3.0悪くはないのだけど、『相棒』に比べてメリハリが弱い気がしました。

2012年1月29日
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 小地蔵の大好きな作品「いま、会いにゆきます」の土井裕泰監督作品に加えて、東野作品のなかでも一番人間ドラマの要素が濃い原作だけに、期待して見にいってきました。
 けれども主演の阿部寛からはいまいち真に迫る感動を得られませんでした。

 親子間の葛藤がメインのテーマであり、ラストまで犯人候補が揺らいでいく構造は、近年の『相棒』シリーズの十八番とするシナリオ。どうしてもここは加賀でなく、右京ならどんな対応をするのかという色眼鏡で見てしまいます。特にラストで犯罪の誘発する原因を作った中学教師の水難事故隠蔽について、阿部寛は色をなしてこの教師を叱り飛ばします。けれどもこれが水谷豊だったら、ラストの犯人を叱り飛ばす決めゼリフでは、もっと感情を込めて、実を打ち震えながら、観客のカタルシスをはらしてくれたことでしょう。 本シリーズは連続ドラマの日曜劇場『新参者』の続編。刑事ものでは、ヒットを飛ばしているテレビ朝日の蓄積されてきたノウハウによる重厚な空気感に比べて、雑多なドラマを手掛けるTBSの日曜劇場製作の本作では、全体の雰囲気自体に軽重の違いを感じさせます。もしかしたら監督すらミスマッチだったのかもしれません。

 一定の人生経験を積むまでは刑事役を拒み続けてきた阿部寛。彼にはひょっとしたら苦手意識があるのかもしれません。本作のキモは、被害者の青柳武明とその息子悠人との親子断絶にありました。そして主人公の加賀恭一郎も元刑事だった父親に対して、同業後輩としてのコンプレックスを抱えていたのです。だから加賀は真相が明らかになるほどに、青柳父子の関係に感情移入するわけです。だからもっとお節介に、熱く武明や関係者に絡むはずです。ところが割と淡泊に阿部は演じているのですね。その辺が良くも悪くも阿部寛らしさがよく出ているのです。だれど加賀自身も、本作の象徴である「飛べない麒麟」のひとりであったことを強調した演出の方が、ぐっと観客も加賀に感情移入できたことでしょう。
 加賀が控えめな分、加賀の父親の看護を担当した看護士の金森登紀子が、加賀に三回忌の開催を迫るしつこさが目立ち過ぎて、違和感を感じました。
 原作ものは、どこをポイントに置いて2時間のドラマに凝縮していくのかがポイントとなります。本作はその点原作をそつなくまとめ込んでいて破綻がない秀作です。けれども『相棒』と比べても、面白味に欠ける感じがするのは、どこか一つ打ち出すところが弱かったからではないかと思うのです。『白夜行』と比べて筋を説明していく整理の仕方は、土井監督の方が数段上手いと感じます。けれどもラストの意外性や感傷においては、『白夜行』の深川栄洋監督が面白く感じたのです。

 物語としてはすごく秀逸。恐らく東野圭吾原作では最高傑作でしょう。事件直後に若い不審な男が現場から逃走。その若い男八島冬樹の持ち物からは被害者が持っていた財布と書類鞄が発見されます。そして、被害者が役員となっていた金属工場を解雇されたことについて怨んでいた証言もとれるなど、動機も証拠も充分。容疑者としては充分な疑いが固まっていったのです。
 しかし八島と同棲していた中原香織は、「彼が人殺しをするはずがない」と否定。加賀の粘り強い捜査によって、全く違う筋から真犯人が浮かんでいく過程は、推理ドラマとして出色の出来映えだと思います。
 特に「死者の声を聞くことが、生きているものの努めだ」という同僚のドラマの転換点となるひと言は、加賀の父親に対するトラウマを解消させただけでなく、見ている方もグッと考えさせられるひと言になりました。

 それと八島冬樹と中原香織が駆け落ち同然で上京したとき、東京での生活の出発点としてまず立ち寄ったのが日本橋の麒麟の像の前でした。そこで無邪気に万歳と叫ぶ若いふたりに、「ここから夢に羽ばたいていく、はずだった。」と加賀がつぶやくところは余計に涙に誘われます。

 またある事件のことで、父親が期待した水泳をやめて、生きる目標すら見失いかけてきた青柳悠人が、本当の父親の気持ちを知って涙するところも感動的でした。
 その父青柳武明が刺されて瀕死の重傷にあいながらも、119に通報せず、ひたすら日本橋の麒麟像に向かって事果てたことも、本編の大きな謎の一つです。武明の命をかけた息子へのメッセージ、贖罪の思い、そして微笑み。中井貴一は実にいい芝居をしていましたよ。きっと原作のラストは、涙に泣きくれる感動巨編なのでしょう。

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流山の小地蔵

4.0映画というよりテレビドラマ

2012年1月20日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

楽しい

知的

テレビドラマの「新参者」に特に思い入れがなければ
地上波で放映されるのを待ってもいいかも。

映画というよりもテレビドラマ。
東野圭吾作品に漂う人情味あふれる人間の機微は
実に緻密に描かれ、話の展開の構成も上出来で
役者陣も誰一人として興をそぐような
配役ではないし演技も良く 悪い点は見当たらないのだけれど……

映画ではなくテレビドラマ、
それしかいいようがない。

テレビドラマとして観たら満点です。

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星なれ