劇場公開日 2011年10月1日

「映画になってない」はやぶさ HAYABUSA マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5映画になってない

2011年10月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

はやぶさ(第20号科学衛星MUSES-C)は、2003年5月9日に種子島から打ち上げられ、2年を掛けて惑星イトカワに到達、2005年11月20日と26日イトカワに2度タッチダウンした。その後、地球への帰路に就いたが、通信途絶やエンジン停止など相次ぐトラブルで所在不明となってしまう。その惑星探査機〈はやぶさ〉が数々の困難を乗り越え、2010年6月13日、奇跡的に地球に帰還したことは記憶に新しい。はたしてカプセルの中には、惑星イトカワの微粒子が存在するのかどうかも話題になった。
そんな〈はやぶさ〉の軌跡を、陰で支えたプロジェクトチームの奮闘とともに描いたというのが今作だ。

架空の人物、女性研究員・水沢恵(竹内結子)を主人公に据えるが、話が落ち着かない。実際に起こった事象を踏襲するばかりで、人間ドラマとしては散漫で、作品自体が落ち着かないというべきか。

誰もが知っている〈はやぶさ〉奇跡の帰還。これを映画化するとなれば、そこにどれだけの色づけを施すか、そこが腕の見せどころとなる。

ところが、水沢恵という主人公を存分に生かしたとは言えない。プロジェクトにいなくてはならない存在というわけでもなく、語りべとして見ても中途半端だ。ラストはそれなりに締める役どころにはなっているが、どちらかというとドタバタした印象しか残らない。
めっきり上手くなった竹内結子を元に戻してどうする。

構成も描写もありきたりで、ただの再現フィルム、または国営放送のスペシャル番組でも見ているようだ。演出に光ったところがなく、映画(エンターテインメント)になっていない。
せっかくのシネスコサイズも、ほとんど中心部しか使われておらず、ビスタでじゅうぶん。
事実を伝える上で、創作が入れづらいのであれば、高嶋政宏演じるカメラチームリーダー・坂上健一を主役に持ってきた方が面白そうだ。

マスター@だんだん