劇場公開日 2011年3月5日

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「あの名曲にこんな史実が隠されていたとは・・・」アメイジング・グレイス septakaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0あの名曲にこんな史実が隠されていたとは・・・

2011年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

幸せ

期待のハードル上げてたのに、
それを軽々と超えてしまったんですけど!
同じ英国実話モノ『英国王のスピーチ』より、
遥かに入り込んじゃったし、感動したんですけど(落涙)

※心に残ったセリフ
〈 見えなかった目も、今は開かれた 〉
〈 結婚と健康は、切り離すことの出来ない双子 〉

今作を見るまで、
この名曲が、英国奴隷船の船長の懺悔から、
生まれた歌だったなんて、全く知りませんでした。

“奴隷船”の言葉がキーワードでして、
今作は、奴隷解放に生涯をかけて取り組んだ政治家の話です。

壮年のウィルバーが、若い頃を振り返る形で、
現在と過去を行き来しながら作品は進められていきます。

一時は大真面目に神職の道に進もうと考えていたウィルバー
人は平等なもの、奴隷の話が出ると露骨に嫌悪感を出すほど反対をしていた

しかし、時代は奴隷貿易
そして、植民地時代の真っ只中

奴隷で、大量の労働力を賄わなければ、
植民地で農場を運営できなくなりお金を稼げなくなる

白人至上主義
根強い人種差別

当時、奴隷制度に声を上げて反対を唱える
政治家は、ウィルバー、ただ一人であった

だが、彼の熱意に打たれ、数は少ないが仲間が集まり始める
しかし、長く続く慣習を、変えるのは容易ではない

信頼していた仲間からの裏切り
フランス革命が起こるなど時代の流れは逆行

ウィルバーは麻薬のような劇薬に頼らなければ
ならなくなるほど、体調を崩し、精神を病んでしまう

そんな彼を支えたのは伴侶となるバーバラ
外で戦ってきても、家では娘とともにウィルバーを癒す

体調も、精神状態も、右上がりになったとき、時代も味方に・・・

根回し
裏切り
駆け引き

どす黒いことも描かれているのですが、
それは結果として、感動のスパイスに過ぎません。

ウィルバーは、精神的に病み、
“奴隷”の言葉を耳にするのも嫌になるほど
落ち込んでいくのですが、最愛の理解しあえる
伴侶との出会いが、彼だけでなく、彼が変わって
いくことで、彼の周りの人たちも変わっていきます。

「他人を変えたければ、まず自分が変われ」

よく耳にする言葉ですが、まさにそれを自ら実践。

周囲に耳を傾け、老獪さも手に入れ、
若かりし頃に成し得なかった奴隷制度廃止を、
言うなれば、大通りからでなく、裏道から実現させようとする。

永く失っていた心の安らぎ
濡れた芝生に横になること
蜘蛛の巣を見つめること

そして、ウィルバーは、念願の奴隷制度廃止を・・・

★彡    ★彡

目立つフリだけでなく、
目立たないフリを使うのが、非常に上手い。
イコール、見落とし注意!!になるわけです(苦笑)

エンドロール直前のシーンとテロップは、あれは私のドツボ。
そこまでで十分感涙していたのですが、そこでリスタートしてしまいました。

上映終了後、パンフ見本熟読へ直行。
英国実話ベースでキャストには徹底的にこだわり
すべて英国人俳優を起用しているそうですネ。

精神を病んでまでも、
生涯を賭して戦い続けたウィルバー。

「日本の救世主になってください」
現在の日本のウィルバーは、福島の原発で、
放水活動や、復旧作業にあたる全ての作業員かもしれません。

濃厚な118分をありがとうございました。
もちろん、5点満点でございます!!!!!

septaka