劇場公開日 2011年12月17日

「泣いたナキ」フレンズ もののけ島のナキ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5泣いたナキ

2013年6月14日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

楽しい

幸せ

童話「泣いた赤おに」をベースに、人間の赤ん坊と“もののけ”の交流を描いた、和製「モンスターズ・インク」とも言うべきファンタジーCGアニメーション。

「ALWAYS」の山崎貴が監督なだけあって、CG技術は見事。
映像も背景も美しく、動きもダイナミックで(特にナキの驚異的なジャンプ力)、日本のCGアニメとしてはなかなかレベルが高い。

話自体はファミリー向けで予定調和だが、しっかりツボを押さえている。
横暴で嫌われ者だった“赤おに”ナキに次第に芽生える優しい心。
ナキの幼なじみの“青おに”グンジョーがナキの為に一肌脱いだ友情。
人間の赤ん坊コタケとの、人間ともののけの垣根を越えた交流。
どれも分かっちゃいるけど感動し、心温まる。

ナキは幼い頃に人間に親を殺され、以来人間を憎み、そのせいでひねくれ、もののけ仲間からも嫌われ者に。しかし、コタケと触れ合って、憎みが消え、ナキの世界は広がっていく。憎みだけでは何も得る物は無い。

昔の争いから人間はもののけを恐れているが、もののけもそう。もののけは人間を脅かすだけだが、人間はもののけを殺そうとする。度を越した人間の恐怖心の方が恐ろしい。

ハートフルな作風の中にもそんな意味合いをやんわりと織り込み、笑えて、心温まれて、感動して、素直に楽しめる好感のアニメーション。

近大