劇場公開日 2011年5月7日

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「ある意味望まれていた作品。」星を追う子ども ことなが つむぐさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ある意味望まれていた作品。

2011年5月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

幸せ

 第一感想は「面白かった。直ぐにでも、もう一回みたい」だった。この監督の作品でこんな感想が出ることは初めて。

 知らない人の方が多いので説明すると、新海誠監督は視聴者が見終わった途端に欝になるくらい苛烈なまでの切なく悲しい物語を独特な色彩感覚の背景美術の映像で見せるアニメ作家で、一部に熱狂的なファンが居る。
 そんな彼の新作がイメージからは想像できなかった全力投球のど真ん中で放ってきたのが、この「星を追う子ども」である。

 監督本人は世界名作劇場みたいな古き良き日本アニメを目指したというがやはりジブリをイメージしてしまった。現に凄く分かり易いジブリオマージュがかなり盛り込まれているが、巧妙に隠したり下手に弄ったりしてないのでかえって潔くパクリとかいう気にはならなかった。
 それに新海監督らしさも前面に出されている、代名詞の背景美術に相棒・天門さんの心に響く音楽、一見すると強い人なのに内面には弱さを抱えている登場人物(ジブリキャラは病人でも芯が強い)、個人的にはそれらが上手く噛み合って凄く楽しめた。
 説明不足を指摘する声もあり私もそう思うが、そういったものを自分や仲間と考えたりして補完するのは存外に面白いことなのでやってみるといいと思う。

 新海誠監督の作品は見返したいけど切なくなるのがわかり切ってるから中々見直せないという人や、最近のジブリはこぢんまりしすぎて面白味に欠けると思う人は確実に居るはずで(特に後者)そうした人に是非見て欲しい。
 細かいことが気になる人以外は損は無いと思う。

ことなが つむぐ