劇場公開日 2011年4月29日

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「ニックの言葉が心に残る」キッズ・オールライト マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ニックの言葉が心に残る

2011年5月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

家族で唯一安定した収入があるニックが父親的存在で、なかなかやりがいのある仕事に就けずに塞ぎ込むジュールスと時々衝突する様は、男女のカップルと変わらない。アネット・ベニングのショートカット・ヘアがキュートだ。
そんなふたりのもと、おおらかに育った姉弟との4人家族の間に割って入るのが“生物学上の父親”ポールだ。この男、調子がよくて憎めない。自由な独身生活を謳歌しながらオーガニックレストランを経営するという設定が活きている。
家族の住居や食生活、レストランの雰囲気、そして青い空に草花や色とりどりの野菜など、明るく陽気な映像に、しばし日常を忘れてしまう。ワインも美味そうだ。
ポールの出現により、徐々に家族の関係が乱されていくが、この陽気さによって暗くならない。むしろ滑稽なくらい明るい。植木職人の絡みも楽しい。
いちばん距離があったニックとポールも、ジョニ・ミッチェルのアルバムを期にすっかり距離が縮まる。
監督のリサ・チョロデンコは、ここまで大団円の結末をほのめかしておきながら、ラストで一気に突き放してみせる。
明るく陽気な世界にどっぷり浸かっていただけに、ニックの「あなたはただの侵入者。家族が欲しかったら自分でつくりなさい!!」という言葉がグサッと心に残る。

マスター@だんだん