劇場公開日 2011年2月5日

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「演技ではない。本物の家族がそこにいた。。。」毎日かあさん septakaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5演技ではない。本物の家族がそこにいた。。。

2011年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

やっべぇ、
終盤、泣きっぱなし
エンドロールの○○の
2人の子供の笑顔を見て、
肩を震わせて泣いちゃったんですけど!!

☆心に残ったセリフ
〈 神様、子供たちをありがとう 〉

『いけちゃんとぼく』(09)
『女の子ものがたり』(09)
『パーパネント野ばら』(10)

西原さん原作映画を
3本鑑賞してきましたが、
今作が断トツでよかったです。

脚本の良さもさることながら、
息子・娘を含めた西原さん4人家族のキャストが
今回の顔ぶれに決まった時点で、成功は9割方確定していたのではないでしょうか。

小泉今日子さんの西原先生役、
私の勝手なイメージと一致しているだけかもしれませんが一番西原先生っぽかったです。

『酔いがさめたら、うちに帰ろう』(10)では、
永作博美さんが演じられていますが、演技はお上手なのですが、
西原先生には失礼な話し、少々おしとやか過ぎました(苦笑)

一番、驚いたのは、
永瀬正敏さん。だって、
シーンが進むにつれて、
段々と痩せていくんだもん。

仮に順撮りで撮影を進めていたとしても、
信じられません。さらに驚いたのは、その痩せて行きかたが、
実に不健康なこと。顔色もどんどん悪くなっていくし、肌艶も落ちていく。
果ては髪の毛を剃り落とし、眉毛まで薄くして、メイクの力だけではないはずです。

エンドロールで鴨志田さんの写真がスクリーンに
映し出されるのですが、永瀬さんの姿とあまりにも似ており、
驚きのあまり、わたくし、一瞬固まってしまいました。

◇   ◇

上述した
『酔いがさめたら、うちに帰ろう』(10)が夫である鴨志田さん目線で、
今作は、妻である西原さん目線で、描かれていることを想像していました。

『酔いが~』は、今作と比較すると無骨と言いますか男っぽい。
今作は、女性の柔らかさと言いますか、子供を見つめる視線、
鴨志田さんを見つめる視線にぬくもりがあり、毒があるように、
見えるシーンですら、そこからは愛情を感じ取ることができました。

それは、鴨志田さんの描き方にも通ずるものがありまして、
鴨志田さん、アルコール依存症(おそらく戦場カメラマンがゆえの
PTSDもあったのではないかと思います)です。自宅で酔った勢いで
「バカにしやがって」と暴れるシーンがあるのですが、西原さんは決して
鴨志田さんを否定しない、そして怖がらない。怯えた目つきで父親を見つめる
子供たちをそっと優しく守る。その落ち着いた姿は、手こそ触れていないものの、
鴨志田さんにも、子供たちと同じ愛情を注いでいた姿勢の表れだと感じたのです。

『酔いが~』では男性ならではの照れがあったのかもしれませんが、
今作は、そのあたりの心情が実にストレートに描かれておりました。

「アルコール依存症。そんな夫の苦しみに気づいてやれなかった」

終盤に心情を吐露する小泉今日子さんのナレーション。
故鴨志田さんに対する西原さんご本人の後悔の念を、
西原さんになりかわって訥々と話されているように感じ、
涙なしに観ることができませんでした。

★彡     ★彡

エンドロールに映し出されるあるもの。

こちらからは、鴨志田さんを演じた
永瀬正敏さんの、妻・息子・娘への、
役を超えた愛情を感じてしまい、止まったはずの
涙が、一体どこから出るんだと、聞きたくなるくらい零れ始めてしまいました。

スクリーンの中には、演技ではない。
本物の家族が、そこには存在したのでした。

と、思い出し涙を必死にこらえながら書くレビュー。
西原理恵子さん原作漫画作品、最高点の4.5点でございます(感涙まじりの笑顔)

septaka