劇場公開日 2010年9月4日

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「女性にも観てもらいたい映画ではありますが…」名前のない女たち aotokageさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0女性にも観てもらいたい映画ではありますが…

2010年9月4日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

楽しい

アニメのコスプレしたルルと元ヤンキーの綾乃…まさに下妻物語。

ルル役の安井紀絵はちょっと小向美奈子似、綾乃役の佐久間麻由は間違えるくらい井上和香に似てました。
原作はタイトルのまま、表には出ない(AV自体が裏ですが、そのさらに裏の…)使い捨ての企画もののAV女優の生き方を追ったノンフィクション。
監督の佐藤寿保は、ピンク映画の枠を超えて「刺青」「芋虫・乱歩地獄」などを撮ってきた。

意外にも成人指定されてません。
撮影現場は最後だけ長いですが、あとは少しだけ。
裸もありますが、むしろ少ないくらい。
原作の趣旨に沿って、まじめに作ってる。
人気AVからでなく、あえてオーディションをして無名の女優を起用してることからも、そのまじめさわかると思います。

街で声をかけられた地味なOL純子が自分探しのために足を踏み入れたAVの世界。
はじめは怖かった先輩AV女優綾乃とも本音でぶつかれるようにもなれた。
全く興味のないアニメキャラのコスプレをして、別の人格を演じることが快感だったり、フアンレターもらって男の人から注目されることが嬉しかったりしていたが、知り合いのAV女優が飛び降り自殺するなどこの業界の残酷さがわかってきて、彼女自身の私生活もしだいに壊れていく。

企画AVは、安い報酬の日雇い稼業、現場も段々と過激に悲惨になっていく。
それでも、AV志願する女性は、多いという。
街で声をかけられ、スカウトの甘い口車にのった子が大半だが、自ら志願してくる子もいる。
今の自分や生活に不満の女の子たち。その心の隙間を埋めるのがAVであったりする。
その先にもっと厳しく残酷な現実が待ち受けていることを知らず…。

映画の落ちは、ちょっと現実離れした悲惨さでしたが、それがむしろ後味の悪さを消してくれてよかった。
女性にも観てもらいたい映画ではありますが、劇場に足を運びづらいかな。

aotokage